2020 Fiscal Year Research-status Report
イネ茎頂分裂組織におけるパターン形成機構の分子遺伝学的モデル基盤構築
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19K05973
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
永澤 奈美子 (佐藤奈美子) 秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (00535289)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 純一 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (30345186)
春原 英彦 熊本大学, 大学院先端科学研究部(理), 特任助教 (60751758) [Withdrawn]
永澤 信洋 秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (90599268)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 茎頂分裂組織 / 変異体 / イネ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ユニークな地上部器官分化パターン異常「双極葉」を生じる複数のイネadaxial-abaxial bipolar leaf (abl)突然変異体を解析することで、 SAMにおいて異所的な葉原基の分化抑制に関与する新規マスター調節遺伝子の機能と相互関係および植物ホルモンとの関係性を解明することを目的とする。2年目は以下のように研究が進展した。 abl変異体における「双極葉」分化時のSAM観察を行うため、前年度構築された、オーキシンやサイトカイニンといった植物ホルモンの局在やそのシグナル伝達状態が蛍光観察に よって明らかになる材料同士を交配し、それらを一度の観察で検出できる材料を作成した。また、ABL1遺伝子の機能解析のため、CRISPR-Cas9システムを用いて作成された遺伝子破壊系統についても、交配によって多重変異体とし、冗長性があると考えられるヒスチジンカイネースの機能解明に有用と思われる材料を作成した。in situハイブリダイゼーションによるABL3の発現解析は難航したため、ABL3とsGFPの融合タンパク質の局在を観察する実験をすることとし、形質転換体を作成中である。 ABL遺伝子の相互関係を明らかにするための二重突然変異体の解析では、ABL2、ABL3、ABL4の間に、上位ー下位あるいは相加的関係があると考えられた。それらのうちいずれかということを特定するためには、遺伝子発現解析が必要である。種の増殖も順調に進んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究はおおむね進んでいるが、ひとつひとつの実験について、当初思い描いていたレベルに少しずつ達していない状況である。 例えば、双極葉分化時のSAMの観察については、Abl1とabl2で完了したが、abl3については不十分であったり、abl2サプレッサーの同定では、系統を同定することはできたが、遺伝子単離には至っていなかったり、abl4解析においては、タンパク質の局在を明らかにするためのコンストラクトは完成したが、形質転換は未完了であったり、二重変異体の解析についても、6組み合わせ中3組み合わせで観察が終了している状況であったりしている。
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Strategy for Future Research Activity |
秋田県立大学に茎頂分裂組織付近の蛍光観察に有用な共焦点レーザー顕微鏡が導入されることになったため、これまで作成してきた蛍光タンパク質を内在する材料を用いて、茎頂分裂組織付近での植物ホルモンの局在や、ABLタンパク質自体の局在解析が進むと考えている。 その他の解析については、これまで通り、いくつかの解析を並行して進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
サプレッサースクリーニングなどの部分で次年度使用とするのが適切な状況となったため。
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