2020 Fiscal Year Research-status Report
1細胞解像度イメージングによるオオムギ茎頂メリステムアトラスの創出
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19K05975
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
井藤 純 横浜市立大学, 木原生物学研究所, 特任助教 (20373269)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 形態形成 / 花成 / イメージング / ムギ |
Outline of Annual Research Achievements |
1. オオムギシュート頂メリステムおよび幼穂を構成する全細胞を1細胞解像度で観察する方法の改良を行い、少なくともシュート頂メリステムに関しては、発生の全過程(発芽後からabortionするまで)を観察することが可能となった。 2. 野外圃場および室内環境下で栽培したオオムギを材料として、発芽後から成長相転換後までシュート頂メリステムの経時的な観察を行った。その結果、オオムギのシュート頂メリステムの細胞形態と配置は成長相によって異なり、その変化は栄養成長相に生じ、栄養成長相の時点ですでに生殖成長相のシュート頂メリステムの形態へと変化することがわかった。また、シュート頂メリステムを構成する細胞のサイズが栽培環境によって異なることが明らかとなった。さらに、野外圃場環境下でのシュート頂メリステムの細胞動態の再現性の確認と相転換後から花序メリステムがabortionする過程における花序メリステムおよび小穂原基の細胞動態解明のため、2020年の11月末から3月はじめにかけて野外圃場でオオムギを栽培し、経時的に茎頂部のサンプリングを行った。 3. オオムギシュート頂メリステムにおける細胞の特性を明らかにするため、マーカーの整備を進めた。昨年度に引き続き植物ホルモン応答マーカーを導入した形質転換オオムギのスクリーニングを進め、昨年度得られた候補株に加え、茎頂部での発現が確認された候補株の単離に成功した。さらに、レーザーマイクロダイセクションとRNA-seqによるマーカー遺伝子の探索を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初技術的な問題でサンプルの状態で対象とする事象を限定していたが、イメージングおよび画像解析技術の改良を行い、シュート頂メリステムの発生過程を網羅できること、さらには、シュート頂メリステムだけでなく幼穂に関しても解析することが可能となったため。 さらに、アトラスの解像度をあげるためのマーカーの取得に関しても、当初の計画よりも多くのマーカーの取得が実現しており、当初の予定より進展があったため。
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Strategy for Future Research Activity |
オオムギ茎頂部のアトラスの作成に向け、発芽後から花序メリステムおよび小穂原基がabortionする過程の1細胞解像度3Dイメージング解析を実施する。さらに、本研究で取得したマーカー遺伝子の発現を3Dで調べ、作成した茎頂部のアトラスにマッピングを行う。 さらに、上記の解析を播き性の異なるオオムギ系統および異なる栽培環境条件で実施し、これらを比較することで、茎頂部の細胞動態の系統間差や環境の応答性を明らかにする。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスにより2020年度に開催予定だった国際学会が延期になったため、その参加費および旅費の経費分の差額が生じた。 差額分の経費はあらたにはじめた新規マーカー取得のためのトランスクリプトーム解析に使用し、研究の進展を図る。
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Research Products
(7 results)