2020 Fiscal Year Research-status Report
花粉数を制御する遺伝子ネットワークの解明と作物への応用
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19K05976
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
角井 宏行 新潟大学, 自然科学系, 特任助教 (60783199)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 花粉数 / スギ花粉 / モデリング / シロイヌナズナ / ゲノム編集 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、シロイヌナズナで開発した効率的な花粉数計測法をさらに拡張し、さまざまな植物に適用できるように工夫を加えた改良法を開発した。この方法に関して論文をまとめ、出版した(Kakui et al. (2020) Plant Methods)。この方法を用いて、スギから26系統、合計523サンプルの雄花から花粉数を計測し、さらに最新の統計モデリング手法の一つであるpSEM(Piecewise Structural Equation Modeling )を用いてどのような要因がスギの花粉数に影響するかを明らかにした。その結果、花粉数は雄花重量・系統・花粉サイズでよく説明できることがわかった(説明率約85%)。また、雄花重量は環境要因のひとつである方角の影響をうけ、北に比べて南の方が約1.5倍重くなることがわかり、スギの花粉数を考える上では方角を考慮することも重要であることがわかった。モデリングにより方角を補正した花粉数を比較することにより、スギの26系統間で、3倍以上花粉数が変わることがわかり、花粉数を比較することで将来的により花粉数の少ない系統を選抜することができると考えられた。これらの研究についてPlants誌から寄稿の依頼があったため、論文をまとめ、出版した(Kakui et al. (2021) Plants)。また昨年度Nature Communications誌に掲載されたシロイヌナズナの花粉数を制御する遺伝子の論文について日本語総説の寄稿を複数求められたため、それに応じて総説を寄稿した(角井ら(2020)Academist Journalおよび角井ら(2021)バイオとインダストリー(2021))。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は新規に第一著者の2報の論文が受理され(Kakui et al.2020 Plant Methods, Kakui et al. 2021 Plants)、さらに第一著者の2報の総説が掲載された(角井ら(2020)Academist Journalおよび角井ら(2021)バイオとインダストリー(2021)。また、スギ、シロイヌナズナ、コムギの花粉数の新たな研究についても着実に進展がみられており、今後さらに研究が発展することが期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 得られた無花粉スギの原因遺伝子について、さらなる解析を行う 2. シロイヌナズナのRDP1に関連した遺伝子をトランスクリプトーム解析を行い、RDP1の機能を考察すると共に新規の花粉数を制御する遺伝子を明らかにしていく これらの研究に関して論文の執筆を行い掲載を目指す。
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Causes of Carryover |
参加予定だった学会に関して、新型コロナウィルスの影響で中止が決定したことから、未使用額が生じた。次年度はこれらの状況も踏まえて研究計画をたて、未使用額はその経費に充てることにしたい。
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Research Products
(11 results)