2019 Fiscal Year Research-status Report
Understanding of molecular mechanisms to destine to form a constitutive barrier to radial oxygen loss in wild rice species
Project/Area Number |
19K05978
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
塩野 克宏 福井県立大学, 生物資源学部, 准教授 (20610695)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 湿害 / 洪水 / 低酸素 / 野生イネ |
Outline of Annual Research Achievements |
酸素漏出バリアはイネなどの水が多い環境に適応した湿生植物がもつ耐湿性の重要形質である。イネは過湿ストレスを受けてから誘導的にバリアを形成するが、これまでのイネをモデルとした形成機構の研究ではバリア形成を決定づける上流の鍵遺伝子は特定できていない。申請者はアマゾン川流域に分布するAAゲノムの野生イネの中に過湿ストレスを受ける前から恒常的に酸素漏出バリアを形成するエコタイプを見つけた。本研究ではバリアを恒常的に形成する野生イネと誘導的にバリアを形成する栽培イネを交雑し、イネと野生イネとの網羅的な遺伝子発現の比較解析をする。これにより酸素漏出バリア形成を決定づける上流の制御遺伝子群を特定を目指している。 今年度、当初の予定通り(1)野生イネO. glumaepatulaの酸素漏出バリア形成能力を評価し、恒常的なバリアについての基礎的情報を得ることに成功した。具体的には不定根に恒常的バリアを形成する3系統と種子根に恒常的なバリアを形成する1系統があることが分かった。さらに(2)平行して、O. glumaepatulaとイネの交雑系統作出のための交配をすすめた。野生イネと栽培イネの交配は難航し、不定根に恒常的バリアを形成する3系統と栽培イネの交配は失敗した。しかし、種子根に恒常的なバリアを形成する系統については、栽培イネとの交配で作られた染色体部分置換系統が作出されており、部分置換系統の種子を増幅することができた。野生イネと栽培イネを親に持つ染色体部分置換系統の種子の増幅には成功したため、来年度以降の計画は問題なく実施できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は(1)野生イネO. glumaepatulaの酸素漏出バリア形成能力を評価し、恒常的なバリアについての基礎的情報を得るるべく、実験を実施した。不定根に恒常的バリアを形成する3系統と種子根に恒常的なバリアを形成する1系統があることが分かった。平行して(2)O. glumaepatulaとイネの交雑系統作出のための交配をすすめた。野生イネと栽培イネの交配は難航し、不定根に恒常的バリアを形成する3系統と栽培イネの交配は失敗した。しかし、種子根に恒常的なバリアを形成する系統については、栽培イネとの交配で作られた染色体部分置換系統が作出されており、部分置換系統の種子を増幅することができた。野生イネと栽培イネを親に持つ染色体部分置換系統の種子の増幅には成功したため、来年度以降の計画は問題なく実施できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、前年度までに種子を増殖させたO. glumaepatulaとイネの交雑系統についてバリア形成能力を評価する。この時、イネ野生型との交雑系統が恒常的なバリアを形成した場合には野生イネから導入した鍵遺伝子が優性遺伝子であることがわかる。恒常的にバリアを形成できる染色体部分置換系統については、スベリン変異体やABA生合成変異体との交雑を試みる。2021年度以降、このスベリン変異体やABA生合成変異体との交雑系統のバリア形成を調べ、鍵遺伝子のバリア形成における上流下流の位置づけのを把握を目指す。
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Causes of Carryover |
予定していたよりも物品購入が少なかったため次年度使用額が生じた。残金は次年度の物品費と合算して使用する。
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