2021 Fiscal Year Research-status Report
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19K05980
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
津田 勝利 国立遺伝学研究所, 遺伝形質研究系, 助教 (30756408)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 野生イネ / 穂分枝形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
花序の分枝数は種子の終了に直結する重要形質である。栽培イネOryza sativaは祖先の野生イネO. rufipogonに比べ穂分枝数が多く、栽培化の過程で種子数を増加させた主要因と考えられるが、どのような自然変異に起因して分枝数が増えたのかは不明である。本研究では野生イネが持つ強力な分枝抑制因子Uniaxialの分子実体解明とそこに生じた自然変異を解析し、野生イネが本来どのような穂分枝制御機構をもち、またそれがどのような変遷を遂げたかを明らかにする。 1. Uniaxialの責任遺伝子の同定: 連鎖解析によりUniaxial候補遺伝子を絞り込んだ。ゲノム編集によるノックアウト解析を行い、欠損により穂分枝が回復する遺伝子を決定した。さらにこの遺伝子領域を野生イネからクローニングし栽培イネに導入したところ、穂分枝が抑制されたことから、責任遺伝子を同定したと結論づけた。 2. Uniaxialの機能解析: Uniaxialはトランスポゼース様の機能未知のタンパク質をコードしていた。蛍光タンパク質融合型のUniaxialを作成し細胞内局在を観察したところ、Uniaxialは核に局在することがわかった。in situ hybridizationにより幼穂原基における発現パターンを調べたところ、Uniaxialは枝梗原基基部およびbract原基において特異的に発現することがわかった。 3. Suppressor of Uniaxial (Su)の存在の検証: 野生イネはUniaxialをホモ型に持つにもかかわらず、穂分枝を形成することから、Uniaxialと拮抗する因子Suが存在すると考えられた。そこでUniaxialと野生イネ交雑F2集団を用いてRADseqおよびQTL解析を行い、Suの染色体上におけるおおよその位置を特定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Uniaxialに対する特異的抗体の作成に必要な、Uniaxial組み換えタンパク質が大腸菌において十分に発現せず、発現条件の検討に時間を要した。従って、抗体作成が予定よりも遅れたが、これまでに十分な力価を示す抗血清を得ている。現在抗体の精製中であり、今後精製抗体の評価を行う予定である。また、Uniaxialの下流で働く遺伝子経路を同定すべく、幼穂原基におけるレーザーマイクロダイセクション(LMD)及びトランスクリプトーム解析を予定していたが、Uniaxialの表現型が天候に左右されることが明らかになり、反復実験用のサンプルを十分に集められなかったため、次年度に計画を延長して引き続き行うこととした。 また、Uniaxialは野生イネ特異的なDNA領域内に存在することがわかったため、SNPやInDelなどの小さな多型検出法ではなく、Presence/Absence Variation (PAV)を検出する必要が生じた。そこで、PAV検出用のパイプラインを構築し、野生イネ集団内における大まかな遺伝子の分布を明らかにした。しかし、栽培イネにおけるPAV解析は完了しておらず、引き続き解析が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 抗Uniaxial抗体の評価: Uniaxialを持つ準同質遺伝子系統・野生イネと持たない栽培イネを材料に免疫染色をおこない、抗体の評価を行うとともにUniaxialタンパク質の蓄積パターンを明らかにする。 2. LMD及びトランスクリプトーム解析: Uniaxialの表現型が天候に左右されることを念頭に置き、田植え時期をずらしたサンプル集団を複数用意し、複数回にわたってサンプリングを行うことで表現型が大きくずれたサンプルを除外できるようにする。その後は標準的なプロトコールに従い、LMD・mRNAseq解析をおこなう。 3. PAV解析:世界中の栽培イネのコアコレクション(WRC/JRC)のWGSデータに対し、昨年度作成したパイプラインを用いてPAV解析を実施する。 以上のように解析・実験の焦点は絞れており、単年度の延長により研究目的は十分達成できると考える。
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Causes of Carryover |
「現在までの進捗状況」及び「今後の研究の推進方策」で述べたように、(1)Uniaxial抗体の評価、(2)UniaxialにおけるLMD・トランスクリプトーム解析、(3)栽培イネにおけるPAV解析を完了できなかったため、次年度に実施する必要性が生じたから。
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Research Products
(2 results)