2022 Fiscal Year Annual Research Report
コムギ縞萎縮病に高度な抵抗性を示すYmym遺伝子領域の特性解明と候補遺伝子の探索
Project/Area Number |
19K05982
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
小林 史典 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 作物研究部門, 上級研究員 (80584086)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小島 久代 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 次世代作物開発研究センター, 主任研究員 (70547728) [Withdrawn]
藤郷 誠 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 作物研究部門, 主任研究員 (30355292)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | コムギ / コムギ縞萎縮病 / Q.Ymym / 2D染色体 |
Outline of Annual Research Achievements |
コムギ縞萎縮病抵抗性遺伝子Q.Ymymの候補遺伝子を探索するために、Q.Ymym遺伝子の準同質遺伝子系統「TY714-10」のEMS処理による突然変異体集団(M2世代、約2000個体)の栽培試験を、R3年度に福岡県柳川市の縞萎縮病III型汚染圃場にて実施した(R3年11月播種、R4年2月調査)。達観調査で葉の黄化が見られた20個体を選定し、R4年度にELISA試験によるウイルス感染を調査したところ、2個体でウイルス感染が確認された。この2個体については、縞萎縮病III型汚染圃場での2回目の栽培試験(R4年11月播種、R5年2月調査)を実施し、現在、ELISA試験によるウイルス感染を調査している。また、これらの個体では、Q.Ymymの候補遺伝子が破壊されている可能性がある。そこで、これらの全ゲノムシーケンス解析を実施し、Q.Ymym遺伝子領域内の遺伝子配列を対象に変異の有無を現在調査中である。この結果と、R2年度およびR3年度に取得したRNA-seq解析データとを統合し、Q.Ymymの候補遺伝子の絞り込みを進める。 研究期間全体を通じて、汚染圃場での栽培試験が不十分なシーズンもあったが、Q.Ymym遺伝子の実体に迫ることができる知見および材料を取得することができた。これらを活用することで、Q.Ymymの候補遺伝子を特定することができると期待しており、今後も研究を継続する予定である。また、Q.Ymym遺伝子領域の由来については、コムギの近縁野生種に由来する可能性を示した。最近、中国の研究グループも当該領域の由来をコムギ近縁野生種に由来することを示したが、種の特定には至っていない。本研究では、Q.Ymym選抜用のDNAマーカーを使った解析から、特定の種がQ.Ymym遺伝子領域の由来に関与したことを示唆する結果を得たが、さらなる検証が必要である。
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