2019 Fiscal Year Annual Research Report
稲作の省力化に寄与する遺伝子の機能解明および集積系統の開発
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19K05987
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Research Institution | Toyama Prefectural Agricultural |
Principal Investigator |
山口 琢也 富山県農林水産総合技術センター, 富山県農林水産総合技術センター農業研究所, 主任研究員 (40538170)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安達 俊輔 茨城大学, 農学部, 助教 (30717103)
金勝 一樹 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (60177508)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 低温土中出芽性 / 直播 / 苗立性 / 遺伝子単離 / 粒厚 / 多収 / ソース能力 / 有用遺伝子単離 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)低温土中出芽性遺伝子の単離と機能解析(山口、金勝) 低温土中出芽性を高める領域に座乗した候補遺伝子について、阿波赤米型の遺伝子を35Sプロモーターで過剰発現させたところ、コシヒカリ型の過剰発現体と較べ、発芽能力が明らかに高くなることを明らかにした。また、阿波赤米型の当該遺伝子をゲノム編集した系統を作出したところ、明らかに発芽能力が低下することが明らかになった。このことから、当該遺伝子が水稲直播における苗立性の向上に大きく寄与する遺伝子であることを突き止めた。さらにBiFC法により相互作用を持つタンパク質の分析、2次元電気泳動によるリン酸化タンパク質の解析を実施した。 (2)粒重および個葉光合成速度に関するQTLの絞り込み(山口、安達) また、富富富の遺伝的背景に、ハバタキ型で粒厚を高める約2.5Mbpの領域を交配により導入したところ、くず米を低下させ7%程度の多収化を実現する系統の作出に成功した。この系統の光合成能は、富富富と比較し個葉光合成速度がやや高く、気孔コンダクタンス及び蒸散速度が向上しており、ソース能力を高めることで多収化を実現する重要遺伝子が座乗している可能性が示唆された。座乗領域をさらに狭小化するため、ヘテロ型で有する個体の後代より、組換点の異なる31個体を選抜した。 (3)優れた直播適性を持つ集積系統の育成(山口) 富富富は、コシヒカリ背景に短稈、高温登熟性、いもち真性抵抗性、いもち圃場抵抗性の4遺伝子を導入した新品種であるが、富富富の遺伝的背景で、土中出芽性および穂発芽耐性を高めた6集積系統と、粒厚を高めた5集積系統をそれぞれ作出した。これらの系統の人工交配および冬季世代促進を行い、7つの有用遺伝子を全て集積するために必要なF2種子を養成した。
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Research Products
(2 results)