2021 Fiscal Year Research-status Report
中山間地域における極早生ライムギの多用途利用の構築
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19K05992
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
春日 重光 信州大学, 学術研究院農学系, 教授 (50345758)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ライムギ / 越冬性 / 緑肥 / 青汁 |
Outline of Annual Research Achievements |
ライムギの耐寒性評価法および耐寒性に関する発現機作の解明および育成した極早生ライムギ系統「SUR-10」の耐寒性(越冬性)の解明については、前年度に引き続き圃場における生産力検定試験および簡易ルートボックスを用いた生育初期における根域分布調査した。圃場における生産力検定試験の結果、極早生ライムギ系統「SUR-10」は市販の極早生ライムギに比べ、越冬性に優れており、収量性も高いことが明らかになった。また、簡易ルートボックスを用いた生育初期における根域分布調査では、10-30cmの深さで「SUR-10」「SUR-11」および「春香」が他の品種・系統より高い値を示し、これら品種・系統については根系分布と越冬性の高さの間に一定の関係が認められた。 緑肥利用における極早生ライムギ系統「SUR-10」の分解特性の解明では、土中への埋設試験を実施し、84日の埋設期間後の乾物減少率は92.7%で中晩生品種の「春香」に次いで高い値を示し、緑肥としては比較的早く分解されると考えられた。また、このことはin vitroにおける乾物消化率(IVDMD)の値からも推察された。 ライムギ若葉青汁などの食品加工原料としての特性評価では、収穫適期を明らかにするため、数回の収量および生育調査と青汁加工原料の採集を行い、濃縮汁の品質特性を評価した。その結果、比較品種として既に商品化されているオオムギ若葉の原料となる「ミノリムギ」に比べ、アスパラギン酸は低い値を示したが、グルタミン酸、グルタミン、ビタミンA、β-カロテンおよびビタミンEは高い値を示した。加工については、長野サンヨーフーズ株式会社において実用規模での加工試験を実施し、現在、青汁の商品化に向けた利用方法を検討中である。 なお、「SUR-10」については令和4年5月に品種登録のための現地調査が予定されており、現在そのための特性評価を実施中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ライムギの耐寒性評価法および耐寒性に関する発現機作の解明および育成した極早生ライムギ系統「SUR-10」の耐寒性(越冬性)の解明については、圃場試験を中心に実施し、極早生ライムギ系統「SUR-10」の耐寒性(越冬性)および収量性についても明らかになった。緑肥利用における極早生ライムギ系統「SUR-10」の分解特性の解明では、84日の埋設期間後の乾物減少率は92.7%で中晩生品種の「春香」に次いで高い値を示し、緑肥としては比較的早く分解されると考えられた。ライムギ若葉青汁などの食品加工原料としての特性評価では、実際の加工試験を実施し、商品化に向けて予定通り進展している。なお、「SUR-10」については令和4年5月に品種登録のための現地調査が予定されており、現在そのための特性評価を実施中である。
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Strategy for Future Research Activity |
ライムギの耐寒性評価法および耐寒性に関する発現機作の解明および育成した極早生ライムギ系統「SUR-10」の耐寒性(越冬性)の解明については、立茎感応温度を中心に再度検討を進める。緑肥利用における極早生ライムギ系統「SUR-10」の分解特性の解明では、現在までに明らかとなった分解特性を基に、さらに圃場レベルでの鋤き込み・分解試験を行う。ライムギ若葉青汁などの食品加工原料としての特性評価では、青汁としての利用に目処がついたため、今後生産のための「SUR-10」の品種登録と種子生産を進める。
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Causes of Carryover |
最終年度において、作付け中のライムギについて種苗登録に関する特性評価など、令和4年4月以降の調査が必要なため、種苗登録に関する特性評価を行います。
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