2019 Fiscal Year Research-status Report
Performance and genetic diversity of saline resistance for the grain filling in rice and wheat
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19K05995
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
小葉田 亨 島根大学, 生物資源科学部, 名誉教授 (60186723)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平井 儀彦 岡山大学, 環境生命科学研究科, 教授 (80263622)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | イネ / コムギ / 登熟 / 耐塩性 / 塩排除能 |
Outline of Annual Research Achievements |
基準品種としてコシヒカリを、耐塩性の認められているコシヒカリの同質遺伝系統のSL540とSL506、耐塩性の比較的高いインデイカのIR64と低いIR29の穂培養を異なる培地NaCl濃度で行ったところ、すべての品種で0~5 mMで籾の充填率には明確な変化が起きなかった。また、コシヒカリとSL506、IR64、耐塩性品種のNona Bokraを出穂後0~50 mMで土耕栽培したところNona Bokraを除く品種で30 mM以上で登熟歩合に低下がみられた。これらの品種について穂首の水分含量とNa+とCl-の分析結果から穂首中の濃度を推定したところ土壌塩類濃度の増加による増加はNona Bokraでは増加がみられないにもかかわらず他の品種では増加した。これらの事から登熟に影響を与える塩濃度はさらに高い可能性があること、土壌からの吸収塩類の抑制及び植物体内での排除能が関与していることが推定された。しかし、さらに直接的な導管液中の塩濃度測定が必要であるとみなされた。 耐塩性に多様性があるとみなされるトルコ共和国のコムギにおける穂培養によるNaClに対する登熟耐性評価のための装置の作成及び実験打ち合わせのために、トルコ共和国のチュクロバ大Nona Bokra学農学部を訪問した。そして、実験協力者とともに次年度における実験に使用する品種の検討、実験方法と手順の打ち合わせ、冷却用の穂培養装置の購入、組み立て、実験装置の作成と準備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
水田栽培したイネの穂培養による登熟耐性のための培地NaClに対する反応の実験系を確立した。ただし、培地の塩濃度の範囲が子実増加速度に影響を与えるレンジを明らかにするためさらに濃度域を高く設定する必要が示唆された。土壌塩濃度と穂への移行濃度との関係は導管液の濃度測定が測定機器の故障で明らかにできなかったため今後の課題である。コムギについてはトルコ現地での実験準備を研究協力者と行うことができた。それに基づき現地で耐塩性の異なるとみられるコムギの栽培が開始された。
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Strategy for Future Research Activity |
イネ登熟の耐塩性を比較するために穂培養法においてさらに幅広い培地塩濃度を設定し引き続き前年と同様の実験を行う。これらの子実中への塩取り込み量の測定を行う。また、これらのイネを土耕して登熟期に様々な塩濃度を与えて、土壌水の塩濃度とプレシャ―チェンバー法で集めた穂の導管液中の塩濃度を測定し、両者の関係から塩吸収と根及び茎の塩排除能の品種比較と品種による穂への塩供給濃度の違いを明らかにする。 トルコ共和国における穂培養によるコムギの登熟の塩抵抗性の比較は、現在COVID-19の蔓延による渡航制限がなされ渡航が困難なことから現地研究協力者に測定を依頼する。次年度の共同実験について通信により意見交換を行う。
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Research Products
(2 results)