2021 Fiscal Year Research-status Report
西南暖地における飼料用ダイズの多回刈り技術の基礎的研究ー刈取り高さと踏圧回数ー
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19K06000
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
石垣 元気 宮崎大学, 農学部, 講師 (80584573)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 飼料用ダイズ / 暖地型イネ科牧草 / 混播体系 / 収量性 / 再生性 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は,大型機械でのダイズ生産体系の確立を上位目標とし、南九州における奨励品種であるフクユタカを用いて,ローズグラス混播条件下におけるダイズ播種方法および播種密度の違いが飼料用ダイズの収量性および再生性に及ぼす影響について調査した。 その結果,1番草刈り取り時の生育段階は、どの処理区でもダイズ植物体は、V5-V6期(栄養成長)であり、粗タンパク質含量が大きく増加する莢伸長期以降に達しなかった。これは、フクユタカが中晩生であるためと推察された。 収量性について、条播条件では、ダイズ播種密度を高くすると、ダイズ個体密度および収量性が向上した。また、散播条件でも同様の傾向が認められたものの、低密度播種と高密度播種と差異は、条播条件と比べ小さくなった。 1番草刈り取り時における全体収量に対するダイズ割合は、条播条件では、高密度播種・50%、低密度播種・19%となり、散播条件では、高密度播種・39%、低密度播種・32%であった。サイレージ品質や家畜の嗜好性を考慮すると、ダイズ割合が約30%程度である散播条件・低密度播種が本地域での栽培体系に適しているものと考えられた。また、本研究では、従来法である条播方法で用いるダイズ播種機を用いる必要がなく、牧草生産で一般的に用いる作業機(ブロードキャストなど)による散播が可能であることを示した。 再生性については、異なる播種区間において初期の再生性に差は認められず、刈り取られたダイズの約7-8割の個体から腋芽が発生した。しかしながら、試験地では、長期間降雨がなく、さらに虫害にあったため、生育することなく枯死した。そのため、2番草収穫はローズグラスのみとなり、1番草の乾物収量および2番草の乾物収量を足した年間乾物収量では、散播条件・高密度播種が最も高い値となり、ローズグラス単播区(100)と比べて相対値は122となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の上位目標である多回刈り技術を確立するため,2020年度は中晩生~晩生のダイズ系統に対して刈取り高さを調整することで植物体の再生が可能となることを明らかににした.一方で,2021年度では、大型機械での生産体系を可能とする播種方法を提案でき、暖地型イネ科牧草の単播条件下よりも有意に高い粗タンパク収量を得ることができた。このことから,現在までの進捗状況としては,概ね順調に進展していると評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度では、1番草刈取り後の乾燥ストレスや虫害などの要因によりダイズ植物体の再生が著しく阻害されることが認められた。さらに、ローズグラスの1番草収穫までの生育期間(60-70日)までにダイズ植物体の粗タンパク質含量を大きく増加させるためには、生育段階がより早く移行する系統が必要であると考えられた。 以上の知見から、本研究の上位目標である「多回刈り」の視点をダイズ再生管理技術だけではなく、ダイズ追播技術や供試系統の早晩性についても検討し、昨今の異常気象による不安定な気象条件下でも臨機応変に対応しうる栽培技術・体系の確立を目指す。 このことから2022年度は、ローズグラスとの混播条件下における、①異なる早晩性ダイズ品種の1番草刈取り時における生育段階と収量性、②ダイズ再生における水分条件の検討、③1番草刈取り後の採草地へのダイズ追播技術の検討について取り組んでいく。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は生じたものの少額であった。
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Research Products
(2 results)