2019 Fiscal Year Research-status Report
四倍体バラ交雑集団を活用した有用形質判別DNAマーカー開発系の確立
Project/Area Number |
19K06016
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
太田垣 駿吾 名古屋大学, 生命農学研究科, 講師 (50597789)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
落合 正樹 岐阜大学, 応用生物科学部, 助教 (80755827)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | バラ / 遺伝解析 / トゲ / VIGS |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、複雑なゲノム構造をもつために遺伝解析が困難な栽培バラを対象とし、第一の研究項目としてトゲ無し形質のマッピングと形質判別用DNAマーカーの開発を試みる。また第二の研究項目として、先行研究で同定した形成初期のトゲで発現する遺伝子群について組織別発現解析と一過的発現抑制個体の表現型解析を行うことでトゲ形成に至るまでの分子機構の解明を試みる。第一の研究項目について研究初年度である2019年度は、交雑集団および両親個体の表現型(節間に形成されるトゲの数)調査とDNA抽出を行った。さらに抽出したDNA試料213検体を用い、かずさDNA研究所に委託してGRAS-Di解析を行い、全試料で合計5.6億リードを得た。現在は公開されているRosa chinensis ‘Old Blush’ゲノムへマッピングし、一塩基多型などの検出を進めている。第二の研究項目については、形成初期のトゲで発現する遺伝子群の部分配列をApple latent spherical virus vectorもしくはTobacco rattle virus vectorに挿入し、ハマナス (Rosa rugosa) に対して組換えウイルスの接種を行った。現在は接種個体の栽培を継続し、発現抑制効果の検証を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第一の研究項目については、研究開始当初の計画通りに進展している。第二の研究項目については、研究開始当初は形成初期のトゲで発現する遺伝子群を標的として in situ hybridizationによる組織別発現解析に取り組む予定であったが、形質調査に想定以上の時間を要したため、解析に適した試料を準備することができなかった。そこで二年目から実施予定であったVirus-induced gene silencing (VIGS) を前倒しで実施することとし、ウイルスベクターの構築と接種試験を行った。このように当初の予定とは異なる部分もあるものの、研究期間全体で考えると研究は順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間二年目となる2020年度は、研究項目1については形質調査を引き続き実施するとともに、交雑集団内の塩基多型情報と表現型値を用いたアソシエーション解析を行うことにより、トゲ無し形質が座乗する染色体領域の絞り込みを目指す。また、研究項目2についてはVIGSを継続するとともに、in situ hybridizationにも取り組み、真にトゲ形成に関与していると考えられる遺伝子の絞り込みを目指す。
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Causes of Carryover |
GRAS-Di解析を委託したかずさDNA研究所と協議してデータ解析の大部分を名古屋大学で実施する契約とした結果、当初の予定よりも「その他」の支出が大幅に圧縮された。圧縮分についてはデータ解析に必要となるPCの購入費に充て、その残額が次年度使用額として計上されている。次年度使用額および翌年度分請求額については、分子生物学実験用試薬およびキット類・実験器具・ならびに園芸用資材購入費に充てる。
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Research Products
(1 results)