2020 Fiscal Year Research-status Report
果実軟化に関与するエクスパンシンの機能解明と分子構造研究
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19K06023
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
石丸 恵 近畿大学, 生物理工学部, 教授 (90326281)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | エクスパンシン / 果実軟化 / キシログルカン / SAXS |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度の研究は,PpEXP1のヘミセルロースに対する加水分解活性の調査と,SAXSによるモモ果実の細胞壁構造変化を実施した. まず,PpEXP1のヘミセルロースに対する加水分解活性を調査するため,ヘミセルロースの主要構成多糖類であるキシログルカンを分解し,7~9糖の基質調製を行った.市販のキシログルカンをグルカナーゼ処理を行い,その後,活性炭カラムを用い低分子および高分子領域のキシログルカンを排除し,その後,バイオゲルP2を用いて7~8糖の標準基質となるキシログルカンを調製した.7糖,8糖,9糖とそれぞれの精製は難しく,7~9糖の混合物の精製を行った.PpEXP1との反応性については,今年度のコロナ禍の影響で実験時間の確保が難しく進んでいない. また,SAXSによるモモ果実の細胞壁構造は,成熟に伴い高分子から低分子に移行している事象を得ることができた.また,今年度は,溶質系のモモ果実からだけでなく,非溶質系,硬肉系のモモ果実の細胞壁構造の変化をSAXSで観察することができた.溶質系では,成熟期に急激な低分子化が起きており,非溶質系および硬肉系では僅かな構造変化であった.しかし,これは溶質系の果実を基に算出した傾向であるため,さらに解析を進めていく必要がある. 今年度の新型コロナの影響により,当初予定していた研究が進めておらず,実験施設の使用も制限されたことから,来年度でのさらなる研究を加速させていきたい.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和2年度は,新型コロナの感染拡大により,大学への入構制限や,他機関での実験実施に伴う使用制限などのため,実験計画が予定通り行えなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は,引き続き新型コロナの感染再拡大により今後の状況は不透明であるが,実験再開に向けて,準備と実験施設使用の連絡だけは引き続き行っていく. 大阪での感染拡大によって,他府県への移動が懸念されていることもあるが,感染状況を注意深く見ながら,試料の送付により測定を依頼できるように検討を進めている.
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