2021 Fiscal Year Annual Research Report
果実軟化に関与するエクスパンシンの機能解明と分子構造研究
Project/Area Number |
19K06023
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
石丸 恵 近畿大学, 生物理工学部, 教授 (90326281)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 果実軟化 / 細胞壁 / 糖加水分解酵素 / エクスパンシン |
Outline of Annual Research Achievements |
モモ果実由来のPpEXP1は,モモ果実の成熟に伴う果実軟化に深く関与していることが明らかにされている.そこで,PpEXP1の機能を明らかにするために,酵母による組換えタンパク質の産生を行い,酵素特性・基質特異性などを輝にする目的で本課題を実施した. その結果,PpEXP1はCMCセルロースおよびPASCを用いたところ,セルラーゼ様の活性を示した.次にセルロースに対する活性を明らかにするため,セロオリゴ(3糖~6糖)を用いたところ,5糖を2糖と3糖に,6糖を2糖と4糖に加水分解する反応を有することを明らかにした.3糖および4糖については加水分解することはなかった.これらの結果は,エクスパンシンが特異的な基質に対し糖加水分解活性を有することを明らかにした初めてのものとなった. この加水分解活性を有することを明らかにするため,セルロース分子間の水素結合切断活性を調査した.その結果,OHの水素結合を重水素であるODに置換し,微量な電位差を検出する手法を用いたところ,pHのわずかな上昇を検出することができ,水素結合を切断していることを明らかにした.これは,加水分解と同じメカニズムによって起きる反応でもあることから,PpEXP1が加水分解活性を有する裏付けとなった.また,X線小角散乱法(SAXS)により,モモ果実の成熟に伴う果肉切片の構造変化を調査したところ,切片の調整方法により,低分子化していることを明らかにし,さらに未熟果実の切片にPpEXP1を添加することにより成熟果実の構造変化と同じパターンを示した.これは,PpEXP1によりモモ果実の果肉組織が直接構造変化を起こしたことを明らかにしたものである. さらに,これらの機能を構造生物学的に明らかにするため,構造解析を進める予定になっており,現在,PpEXP1の結晶化条件の探索を進めている.
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