2020 Fiscal Year Research-status Report
高温期のトマト肥大不良果発生における温度反応特性の解析
Project/Area Number |
19K06025
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
長菅 香織 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 野菜花き研究部門, ユニット長 (30370612)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | トマト / 高温 / 果実肥大 / 遺伝子発現 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、トマト夏秋期生産における不安定要因のひとつである肥大不良果の発生について、高温下の果実肥大特性の解明および関連遺伝子高発現条件の特定により温度反応特性を明らかにし、回避技術の開発に役立てることを目的とする。初年度に、肥大不良果発生に深く関与すると考えられ、過酷な高温下において受粉後に果実肥大せずに長期間果房に残る未発達花について、発生温度や果実肥大不良程度との関連性を形態的解析により見出した。本年度は、肥大不良果発生に関連する遺伝子の発現解析により、発生要因となる高温遭遇条件の特定を品種別に試みた。 これまでに肥大不良果発生と密接に関連し、果実発達初期に組織特異的に高温発現する遺伝子を選定した。この関連遺伝子が高発現する高温条件を明らかにすることにより、肥大不良果発生要因となる高温遭遇条件の特定に繋がると考えられた。また、関連遺伝子は果実発達初期に高温発現が高まるため、結果を得るまでに長い期間を要する従来の栽培試験に比べて、非常に効率的に果実肥大に対する高温の影響を解明できると考えられた。そこで、国内9品種を高温温度域や高温遭遇時間を組み合わせた多様な温度制御下で生育させ、授粉後の子房における関連遺伝子の発現変動を高温遭遇条件間で比較解析した。 その結果、国内9品種において関連遺伝子が高発現する高温遭遇条件を特定した。また、高温遭遇パターンによっては関連遺伝子の高温発現程度が低下する場合があった。これらの結果は、昨年度の形態的解析の結果と統合的に解析することにより、肥大不良果発生要因となる高温遭遇条件および発生を軽減する温度制御条件の特定に繋がるものであり、肥大不良果発生の回避技術の開発に大きく貢献すると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、トマト夏秋期生産における不安定要因のひとつである肥大不良果の発生について、高温下の果実肥大特性の解明および関連遺伝子高発現条件の特定により温度反応特性を明らかにする計画である。本年度は、多様な高温遭遇条件下における肥大不良果発生関連遺伝子の発現変動に関する比較解析を中心に実施した。この関連遺伝子は果実肥大に及ぼす高温の影響を評価する指標となり、果実発達初期に高温発現が高まるため、肥大不良果発生要因となる高温条件を非常に効率的に特定することが可能である。これにより、本年度は国内9品種において関連遺伝子の高発現条件、すなわち肥大不良果の発生要因と考えられる高温遭遇条件を特定すると共に、肥大不良果の発生を軽減する温度制御条件も見出した。従って、当初の計画どおりに進捗していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまでに形態解析により明らかにされた果実肥大特性と肥大不良果発生関連遺伝子の高発現条件を統合的に解析し、肥大不良果発生要因となる果実発達段階および高温遭遇条件について精査する。また、関連遺伝子発現解析により肥大不良果発生を軽減できると想定された適正条件を温室内で再現し、その効果を検証する。
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Causes of Carryover |
消耗品類が当初計画より安価で購入できたため。次年度分の助成金と合わせ、遺伝子発現解析および栽培試験における消耗品を購入する予定である。
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