2020 Fiscal Year Research-status Report
Flower color modification through interaction between B-ring glycosylated delphinidins and flavonols in Eustoma grandiflorum
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19K06026
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
野田 尚信 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 野菜花き研究部門, 上級研究員 (10455313)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 圭一 鹿児島大学, 農水産獣医学域農学系, 准教授 (30305164)
橋本 文雄 鹿児島大学, 農水産獣医学域農学系, 教授 (70244142)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | トルコギキョウ / 花色 / アントシアニン / グルコシル化 / フラボノール / コピグメンテーション |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者らは、デルフィニジン型アントシアニンのB環3′位および5′位水酸基を共にグルコシル化することでキクの花色を青に改変できることを明らかにした。この青色化は、B環配糖化デルフィニジン色素と花弁内在のフラボン配糖体との分子間相互作用(分子間コピグメンテーション)による。フラボン配糖体は、アントシアニンと共存することで青を発色させる助色素(コピグメント)として機能している。一方、同じフラボノイド類のフラボノール配糖体も助色素として機能し、B環配糖化デルフィニジン色素と生体内で共存すると青を発色する可能性が試験管内の実験で示唆された。 この仮説を証明するために、フラボノールを花弁に蓄積するトルコギキョウに、B環配糖化アントシアニン合成に必要となるチョウマメのA3′5′GT遺伝子等の遺伝子を導入し、生体内で検証するために研究を開始した。まず、チョウマメ由来のA3′5′GT遺伝子をトルコギキョウの花弁で適切に発現・制御する手法を明らかにする必要がある。そこで、チョウマメA3′5′GT遺伝子をトルコギキョウで機能させるために適切なプロモーターを明らかにするための導入遺伝子コンストラクトを作製した。またチョウマメA3′5′GTの基質特異性を考慮すると、アントシアニン3位の配糖化、および5位の配糖化とアシル化の状態も改変が必要と考えられたため、それらを制御するコンストラクトも作製した。これらを用い、フローラルディップ法及びリーフディスク法による遺伝子導入実験を行った。その結果、形質転換体が得られているが、現時点では開花には至っていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
チョウマメA3′5′GTを発現させるプロモーターの異なるコンストラクト3種類に加え、アントシアニン3-ガラクトシル基転移酵素遺伝子(A3GalT)とアントシアニン5-グルコシル基転移酵素遺伝子(5GT)の発現抑制するためのカセット等をチョウマメA3′5′GTの発現カセットと組み合わせたプラスミド3種類の合計6種類の遺伝子導入プラスミドを用い、F1パープルサム自殖後代(紫色花)を植物材料に用い、主にフローラルディップ法による遺伝子導入を行い、形質転換体の作出を進めた。しかしながら、得られた種子からはカナマイシン耐性の個体が数個体得られたのみであった。そこで、花弁特異的プロモーターでチョウマメA3′5′GTを発現させるコンストラクトにしぼり、フローラルディップ法に用いる材料に、F1ロイヤルバイオレット自殖後代及び紫盃を加えて形質転換体の作出を進めた。さらに、リーフディスク法による形質転換体作出も行い、F1ロイヤルバイオレット自殖後代、パープルサム自殖後代、及び紫盃では100個体以上のカナマイシン耐性シュートを得た。そのうちの15個体がPCR法により形質転換体であることを確認し、残りの個体についても解析を進めているが、現在までに開花させて解析をするには至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である2021年度には、フローラルディップ法およびリーフディスク法で得られた形質転換体をなるべく早期に開花させ、花色、導入遺伝子の発現、花弁色素の解析を行い、花弁アントシアニンのB環配糖化を可能にする導入遺伝子の組み合わせと、その発現制御に適したプロモーターを明らかにする。早期に色素生合成を調査するために、アントシアニン生合成を制御する遺伝子(ブドウのVlmybA1遺伝子)を発現するベクターと、本研究のベクターでco-transformationを行い、カルスやシュートで色素を発現させ、目的とする色素が発現しているか調査を行う。また、FT遺伝子を発現させるベクターともco-transformationを行い、早期開花が可能か検討を行う。新たに合成されたB環配糖化デルフィニジン色素を持つ形質転換トルコギキョウが得られた場合、フラボノール配糖体との分子間コピグメンテーションによりトルコギキョウ花弁で青色を生じるか検証する。
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Causes of Carryover |
当初計画よりも形質転換体の作出に遅れが出ており、組織培養実験を進めることに注力した一方で、花色や導入遺伝子の解析等に使用する経費分が次年度使用となった。その経費は次年度の形質転換体の栽培経費および解析の経費とした。
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