2020 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the molecular mechanism of spot formation in flower tepals of Tricyrtis spp.
Project/Area Number |
19K06028
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
中野 優 新潟大学, 自然科学系, 教授 (00262460)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 花被の斑点形成 / ホトトギス属植物 / アントシアニン生合成 / 転写因子 / R2R3-MYB遺伝子 / 遺伝子発現 / プロモーター解析 / 形質転換 |
Outline of Annual Research Achievements |
主に以下の4点について検討を行った.①斑点形成に関与する遺伝子の機能解析:2つの転写因子遺伝子 (TrMYB1およびTrMYB2) の過剰発現コンストラクトを導入したタイワンホトトギス形質転換体について,詳細な調査を行なった.その結果,栄養器官が赤紫色に変化した形質転換体では,葉や茎にアントシアニン類が蓄積されており,また,栄養器官の色の変化の程度と導入した転写因子の発現レベルには相関がみられた.さらに,内生のアントシアニン生合成経路遺伝子の発現上昇も確認された.これらの結果から,TrMYB1およびTrMYB2がR2R3-MYB遺伝子として機能することが強く示唆された.現在,TrMYB1およびTrMYB2のRNAiコンストラクトを導入したホトトギス類の形質転換体を作出中である.②斑点形成に関与する遺伝子のプロモーター解析:現在,TAIL-PCR法により,TrMYB1およびTrMYB2のORF上流域を単離中である.③RNA-seq法による斑点形成に関与する遺伝子のスクリーニング:昨年度にスクリーニングされた遺伝子には,ウイルス様の遺伝子や植物の遺伝子とは相同性が非常に低い遺伝子が多数みられ,アントシアニン生合成に関与するような遺伝子はみられなかった.現在,新たなサンプルを用いた遺伝子発現プロファイルを作成中である.④蕾および開花時の花被を用いたwhole mount in situ hybridization (WISH) 法プロトコルの確立:昨年度に引き続いて,植物体全体で恒常的に発現するアクチン遺伝子のアンチセンスプローブを用いて,花被の組織全体がムラなく染色される条件検討を行っている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初2020年度に予定していた検討項目のうち,①斑点形成に関与する遺伝子の機能解析,および ②斑点形成に関与する遺伝子のプロモーター解析については,おおむね順調に進展している.しかしながら,③RNA-seq法による斑点形成に関与する遺伝子のスクリーニング,および ④WISH法プロトコルの確立については,2019年度からの進展がほとんどみられていない.この原因としては,サンプルが不適当だったことに加えて,新型コロナウイルスの影響により研究室所属の学部生・大学院生が研究室に来られなかったことがあげられる.
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度も新型コロナウイルスの影響による人手不足が予想されるため,①斑点形成に関与する遺伝子の機能解析,②斑点形成に関与する遺伝子のプロモーター解析,および ③RNA-seq法による斑点形成に関与する遺伝子のスクリーニングを優先して行う.なお,サンプルは,罹病していない健全な個体から採取することを心がける.②プロモーター解析については,単離された配列にGUSレポーター遺伝子を連結し,ホトトギス属植物やシロイヌナズナに導入して発現解析を行う.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により行うことのできなかった実験があったため,物品費が消化しきれなかった.2021年度に優先して行う遺伝子の機能解析およびプロモーター解析や,遺伝子のスクリーニングのための物品費の追加として使用する予定である.
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