2019 Fiscal Year Research-status Report
カンキツ果実におけるノビレチン生合成の調節機構の解明
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19K06030
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
馬 剛 静岡大学, 農学部, 助教 (20767412)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | カンキツ / フラボノイド / ノビレチン / OMT |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,ノビレチンを多く蓄積する‘太田ポンカン’とほとんど蓄積しない‘宮川早生’の果皮を用いてマイクロアレイ解析を行うことにより,ノビレチン生合成を調節する転写因子を単離する。単離した転写因子の機能解析を行うことにより,カンキツ果実におけるノビレチン生合成に関わる遺伝子の発現調節機構の解明を目的とする。 令和元年度は,ノビレチンを多く蓄積する‘太田ポンカン’とほとんど蓄積しないウンシュウミカンンの‘宮川早生’の果皮を用いて,フラボノイド含量の季節変動およびノビレチン生合成に関わる遺伝子の発現変動を調査した。また,マイクロアレイ解析を行うことにより,ノビレチン生合成に関わる酵素遺伝子のフラボノイドO-メチルトランスフェラーゼ(OMT)を単離した。単離した酵素遺伝子について,大腸菌を用いてリコンビナントタンパク質を発現させ,in vitroにおいて機能解析を行い,ノビレチン生合成経路の一部を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
総フラボノイド含量は,‘宮川早生’および‘太田ポンカン’の両品種において成熟に伴い減少した。ノビレチンを含むポリメトキシフラボン(PMF)含量のレベルは,‘宮川早生’において低く,‘太田ポンカン’において高かった。これら2品種においてフラボノイド生合成遺伝子の発現を調査したところ,ノビレチンの生合成に関わると考えられるCit3’OMTおよびCit8OMTにおいて,‘宮川早生’より‘太田ポンカン’で高い発現レベルが認められた。 大腸菌を用いてCit3’OMTのリコンビナントタンパク質を発現・精製したところ,SDS-PAGEにおいて約40 kDaのシングルバンドが得られた。精製したリコンビナントタンパク質に基質として様々なフラボノイドを用いて機能解析を行った。機能解析の結果から,Cit3’OMTはフラボンの水酸基をメチル化する反応を触媒し,カンキツ特有のPMFであるノビレチンの生合成に関与することを明らかとなっており,本研究課題はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は,令和元年度で単離した機能未知のCit8OMT等の遺伝子の発現変動を調査する。大腸菌を用いてOMTのリコンビナントタンパク質を発現させ,in vitroにおいて機能解析を行い,ノビレチン生合成経路をさらに明らかにする。また,ノビレチンを多く蓄積する ‘太田ポンカン’とほとんど蓄積しない‘宮川早生’の果皮を用いてマイクロアレイ解析を行うことにより,ノビレチン生合成を調節する転写因子を単離する。
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Research Products
(11 results)