2019 Fiscal Year Research-status Report
四季咲き性キンモウツツジの花芽非休眠性の後代への遺伝とSVP遺伝子との関係
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19K06036
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
嬉野 健次 琉球大学, 農学部, 教授 (10333759)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 花芽休眠 / ツツジ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、ツツジにおける花芽休眠性の遺伝的要因を明らかにするために、非休眠性の四季咲性キンモウツツジと休眠性の常緑性ツツジ(ミヤマキリシマ)とのF1個体に別系統のミヤマキリシマを交配したBC1世代を用いて,花芽の休眠性に関する遺伝様式を調査した。第一花芽出現日はキンモウツツジ(OLD)で6/27,ミヤマキリシマ#1(KIU1)で9/10,これらのF1個体(OLD×KIU1)では7/5であった.F1個体に別系統のミヤマキリシマ#2(KIU2)(第一花芽出現日9/8)を戻し交配したBC1実生群では,第一花芽出現日が6/28から9/4までとキンモウツツジとミヤマキリシマ#1の範囲に幅広く連続的に分布した.第一開花日は,キンモウツツジ(OLD)で7/25,ミヤマキリシマ#1(KIU1)で12/17,これらのF1個体では8/22であり,到花日数は,それぞれ28,98および48日であった.このことから,F1実生は花芽非休眠性であることが確認された.一方,ミヤマキリシマ#2(KIU2)(第一開花日3/20,到花日数193日)を戻し交配したBC1実生群は,第一開花日が7/24から2/28,到花日数が22から177日と幅広く分布したことから,花芽の休眠性は,休眠性と非休眠性に分離していると思われた.また,花芽出現日と到花日数との関係はみられなかった. 以上の結果より,キンモウツツジとミヤマキリシマとのF1個体に別系統のミヤマキリシマを戻し交配したBC1実生では,到花日数が幅広く分布することから,花芽非休眠性の個体と休眠性の個体の両方が出現することが明らかになった.また,BC1実生における到花日数は,第一花芽出現日とは関連性がないと思われた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
BC1世代における、花芽休眠性の遺伝様式を明らかにした点、さらに、花芽非休眠性のキンモウツツジおよび休眠性のキンモウツツジの花芽を経時的にサンプリングした点から、概ね順調に進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今回の研究でサンプリングしている花芽休眠性および非休眠性のキンモウツツジの花芽を用いて、花芽形成から開花に至るまでのSVP遺伝子発現量の変化をReal time PCRを用いて調査し、花芽休眠とSVP遺伝子発現量発現量との関係を明らかにする。 さらに、BC1世代を早咲き性(非休眠性)集団と遅咲き性(休眠性)集団と二分け、各個体からDNAを抽出し、PCR-RFLP法を用いてSVP遺伝子の遺伝を調査し、SVPの遺伝と花芽休眠性との関係を明らかにする。
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Causes of Carryover |
本年度、キンモウツツジの花芽の経時的サンプリング、花芽からのRNA抽出、顕微鏡観察用の試料の作成およびBC1世代の開花調査を中心に行ったため、本年度予定していたSVp遺伝子発現量調査を行わなかった。遺伝子発現量の調査には、高額の試薬が必要であり、そのため本年度に残額が生じた。
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