2019 Fiscal Year Research-status Report
ハスモンヨトウ由来培養細胞における薬剤代謝のミニマム・エッセンシャルの同定
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19K06044
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
菊田 真吾 茨城大学, 農学部, 助教 (90718686)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ハスモンヨトウ / フルベンジアミド / ピリダリル / トランスクリプトーム |
Outline of Annual Research Achievements |
ハスモンヨトウは,様々な農作物の地上部を食害するチョウ目昆虫である.ゲノム解読から,本昆虫には非常に多くの解毒分解酵素遺伝子が発現することが明らかとなっていたが,具体的な薬剤と耐性との関連は不明な点が多い.また,昆虫の成長に伴い,発現する遺伝子の変化や発現組織も多様であることから,薬剤耐性に関わる最小限の遺伝子の同定が困難であった.本研究では,ハスモンヨトウ由来培養細胞数株を用いて,薬剤耐性に関わる遺伝子を総ざらいに明らかにすることが目的である.ハスモンヨトウ由来培養細胞は,血球由来Sl25細胞,胚子由来Sl45細胞,脂肪体由来Sl63細胞の3株系統を用いた.薬剤化合物は,フルベンジアミド,ピリダリル,クロルフェナピル,トルフェンピラドを用いた.これら細胞と化合物を組み合わせ,薬剤感受性を評価した.その結果,Sl45はどの化合物に対しても感受性が高かった.一方で,Sl63細胞は,Sl45に比べ,100倍以上の感受性差がみられた.たとえば,フルベンジアミドでは,昆虫が致死する10 uMレベルでは,細胞死に至らず,最も感受性が高いSl25細胞でも80 uMの添加で致死した.Sl63細胞では,300 uMフルベンジアミドでも致死がほとんどみられなかったことから,Sl63細胞は薬剤耐性が高いと考えられた.また,フルベンジアミド標的受容体RYRの配列において,抵抗性コナガでみられたようなアミノ酸変異はみられなかったことから,Sl63細胞の薬剤耐性は,解毒酵素によるものであると考えられた.Sl63細胞に発現する遺伝子のノックアウト株を作出するために,タンパク導入,一過性遺伝子発現系を検討した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初,実験に用いる細胞株の薬剤耐性が,課題申請時の時よりも感受性が異なっており,別の薬剤化合物も研究の候補化合物として加える必要があったが,概ね当初の研究状況に追いついたため,進展していると評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,トランスクリプトームの結果の精査を行う.遺伝子導入系の効率が低いため,エレクトロポレーション法による導入を検討する.細胞株間における感受性差を評価するだけではなく,薬剤選抜により耐性を高めた細胞株を人為的に作出できるか試みる.もし耐性細胞株が選抜できれば,遺伝子の同定が由来組織の差がなくなるので,同定しやすくなると考えられる.
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Causes of Carryover |
必要試薬類が安価に購入できたため.次年度に研究分析費を計上する.
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