2019 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of RNA exosome-mediated regulation in plant immune system based on an Arabidopsis autoimmune mutant
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19K06054
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
市村 和也 香川大学, 農学部, 教授 (70321726)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 植物免疫 / 自己免疫表現型 / DEAD-boxヘリカーゼ / RNAエキソソーム / 転写後調節 |
Outline of Annual Research Achievements |
矮性や構成的な防御反応が起こる自己免疫は、植物免疫を構成するPTIとETIの緻密な制御バランスが、遺伝子の変異等により崩れることで生じる。我々は自己免疫表現型を示すシロイヌナズナmekk1変異体に対するサプレッサー変異体の原因遺伝子としてSMN2を同定した。SMN2はDEAD-box RNAヘリカーゼをコードし、核内RNA品質管理機構で重要なRNAエキソソームのRNA分解特異性決定因子だった。しかしながら、植物免疫における機能は明らかにされていないことから、本研究では植物免疫におけるSMN2の機能を明らかにすることを目的とした。先に同定したmekk1変異体に対するサプレッサーsmn1/rps6は、トマト斑葉細菌病菌Pst DC3000 (hopA1)のエフェクターhopA1を認識しETIを誘導する。同じスクリーニングで同定されたsmn2はsmn1と機能的に関連すると思われた。smn2変異体におけるSMN1の発現を解析したところ、SMN1の3’領域においてRNAの蓄積が検出された。さらにsmn2変異体にけるP. syringae (hopA1)に対する病害抵抗性を解析したところ、野性が頼り罹病性となったことから、smn2変異によりSMN1の機能欠損が生じることが明らかとなった。また、研究の発端となったmekk1変異体やmpk4変異体の自己免疫表現型をsmn2変異が抑制するか解析をおこなったところ、部分的な抑制が見られた。SMN1はMEKK1-MKK1/MKK2-MPK4経路の欠損により活性化することから、smn2変異によるSMN1の機能欠損が、自己免疫表現型の抑制という結果につながったと考えられた。以上の知見より、RNAエキソソームによる植物免疫関連遺伝子の機能制御の一端が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、1)SMN1 とSMN2 をモデルに、RNAエキソソームがどのようにR 遺伝子のmRNA分解制御を介して植物免疫と機能的に関わるか、また、2)防御関連遺伝子発現におけるSMN2 の機能は何か、以上の2点を明らかにすることを当初の課題とした。 SMN1の植物免疫における機能は、非病原性遺伝子 hopA1 を有するトマト斑葉細菌病菌Pst DC3000 (hopA1) に対するETI活性化による病害抵抗性である。よってシロイヌナズナ野生型とsmn2 変異体に対して、Pst DC3000(hopA1)を接種し、病害抵抗性を比較したところ、smn2変異体は野性型より罹病性を示した。また、SMN1の植物免疫における機能の第2点は、MEKK1経路の欠損による自己免疫表現型の誘導である。我々は、MEKK1経路の変異体 であるmekk1 および mpk4 の自己免疫表現型が、smn1 と二重変異体を作製することで抑制されることをすでに明らかにしている。SMN2 がSMN1 の機能に関与するなら、smn2 も同様にmekk1 および mpk4 の自己免疫表現型を抑制する可能性が予想される。よって、mekk1smn2 および mpk4smn2 二重変異体を作製し、自己免疫表現型の指標として、1) 矮性、2) 細胞死、3) 活性酸素種蓄積の3項目について解析した。その結果、いずれの項目についてもsmn2変異による抑制が明らかになったことから、SMN2はSMN1の機能と密接に関連する重要な因子であることが明らかとなった。以上のことから、概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究方針としては、植物免疫に関連する防御関連遺伝子発現におけるSMN2の機能に焦点を当てて解析を行ってゆく。これまでの研究ではSMN2とSMN1の機能的関連を遺伝子発現と、MEKK1-MKK1/MKK2-MPK4経路変異体の表現型の2点で解析を行った。SMN2の植物免疫における機能をより広範囲に把握するため、smn2変異体を用いたRNA-Seq解析などを行う。トランスクリプトーム解析により、個々の遺伝子のみならず、GO解析などにより、SMN2の防御関連遺伝子発現に対する影響を把握する。その後、個々の遺伝子について詳細な発現解析を行う。本解析により、分解制御を受ける遺伝子群や植物免疫における転写後調節機構が解明され、植物免疫分野に対して新たな考察材料を提示しうるよう研究を推進する。
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Causes of Carryover |
少額なため、物品購入で残高0円とするため支出が行いにくかった。次年度予算と合わせて消耗品などで使用する予定である。
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[Presentation] DEAD-box RNA ヘリカーゼをコードするシロイヌナズナSMN2/HEN2 は抵抗性遺伝子 SMN1/RPS6 の機能に必須である2019
Author(s)
市村和也, 高木桃子, 岩本直樹, 久保佑太, 森本貴行, 萩藤孝輔, 高木宏樹, 高橋史憲, 篠崎一雄, 上中弘典, 田中啓介, 太治輝昭, 秋光和也, 寺内良平, 白須賢
Organizer
第8回植物RNAネットワークシンポジウム
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[Presentation] DEAD-box RNA ヘリカーゼをコードする SMN2 は抵抗性遺伝子 SMN1/RPS6 の正常な発現に必要である2019
Author(s)
高木桃子, 岩本直樹, 久保佑太, 森本貴行, 萩藤孝輔, 高木宏樹, 田中啓介, 太治輝昭, 秋光和也, 寺内良平, 白須賢, 市村和也
Organizer
植物微生物研究会第29回研究交流会
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