2019 Fiscal Year Research-status Report
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19K06067
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
佐原 健 岩手大学, 農学部, 教授 (30241368)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | トビケラ / 染色体進化 / BACライブラリー / FISH |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度、カイコオルソログを含むヒゲナガカワトビケラBACをプローブとしてヒゲナガカワトビケラのパキテン染色体にFISHマッピングを行った。本種は、チョウ目昆虫の多くとは異なる遺伝子配置を持つことが予測されたので、n=13と比較的小さい染色体数を生かし、リプローブFISHカリオタイピングを実現した。カリオタイプされた染色体を用いて、上記BACプローブをリプローブするFISHマッピング法を確立した。その結果、1Mb程度の小さなシンテニーブロック領域が点在する可能性はあるものの、ヒゲナガカワトビケラ染色体は、チョウ目昆虫との間に対応関係がないと結論した。これまでのcDNAライブラリー配列情報では、Z染色体の精細なマッピングには不十分であったため、RNAseq情報を追加取得した。現在、カイコゲノム情報等との比較によるZオルソログを含むBACの特定と選抜を行っている。 ニンギョウトビケラについて、BACライブラリーを構築した。構築されたライブラリーからオルソログのPCR選抜を行うための384プレート、24x16のxとYにおいるDNAプールを作製した。さらにRNAseq情報を獲得し、BmTOPを用いて約1,000のカイコングルオルソログを特定した。カイコ染色体を基準として各染色体に3以上のオルソログを含むBAC選抜を行うためのプライマーペアの設計を行った。現在、100以上のBACを選抜し、逐次FISHマッピングを進めている。一部の染色体比較の結果、9染色体のBAC-FISHマッピングのうち、7染色体対はカイコの同一染色体に座上している遺伝子のニンギョウトビケラオルソログが同一染色体にマップされた。残りの2染色体は、一部オルソログが異なる染色体にマップされた。なお、ニンギョウトビケラ染色体数は、n=22と特定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の核心的問のひとつである、「トビケラ目昆虫の染色体は既知の進化的チョウ目昆虫とどのような関係にあるのか」について、これまでにヒゲナガカワトビケラとの比較が終了している。また、別上科のニンギョウトビケラについては一部データが得られており、問の答えが得られつつある。 もう一つの核心的な問い「チョウ目昆虫に認められるW染色体の起源」の解明について、W染色体の対合ペアであるZ染色体マッピングについてヒゲナガカワトビケラでの進捗が認められる。 以上により、本研究は「(2)おおむね順調に進展している」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画通り引き続き、研究対象種のそれぞれに対して、(1)BACライブラリーの作製、(2)遺伝子配列情報を取得、(3)解析対象とするカイコ単一遺伝子を選抜、(4)配列情報に基づいたプライマー作製、(5)対象とする相同遺伝子を持つBAC選抜用DNAプール作製、(6)PCRによるBAC選抜、(7)BAC-DNAの抽出とラベリング、(8)染色体標本作製、(9)ラベルしたBAC-DNAプローブによるFISH、(10)蛍光顕微鏡による観察、(11)染色体画像データ取得とマッピング情報の比較解析を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大により日本蚕糸学会第90回大会が中止となり、当初計画していた旅費の一部が執行できなかったため。
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Research Products
(6 results)