2021 Fiscal Year Annual Research Report
The change in oviposition preference of phytophagous insect by plant drought stress
Project/Area Number |
19K06074
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
大村 尚 広島大学, 統合生命科学研究科(生), 准教授 (60335635)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 毅 摂南大学, 農学部, 講師 (30730626)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 植食性昆虫 / 寄主選択 / チョウ / 産卵 / 水ストレス / 二次代謝産物 / ポリヒドロキシ酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)キタキチョウの産卵刺激物質として同定した2種類のポリヒドロキシ酸について、濃度0.001%~0.1%で産卵反応を調べた。エリスロン酸(EA)が右肩上がりの反応曲線を示したのに対し、そのジアステレオマーにあたるトレオン酸(TA)は、濃度0.01%を頂点とする上に凸の曲線を示した。2つのポリヒドロキシ酸はヒドロキシ基1つの立体構造のみ異なっており、キタキチョウはこのわずかな分子構造の違いを認識していることがわかった。 2)マメ科植物の主要な産卵刺激物質であるピニトール(Pin)にEAまたはTAを混合すると、キタキチョウの産卵反応は有意に亢進した。キタキチョウが産卵しない4種類のマメ科植物やカタバミ科植物でPin・EA・TAの存在を調べたところ、どの植物でもいずれかの成分が産卵に必要な濃度以上含まれていた。これより、産卵刺激物質は植物に普遍的に含まれており、キタキチョウの産卵は主に産卵阻害物質の有無で決まると考えられる。スズメノエンドウ、カラスノエンドウ、カタバミにおいて産卵阻害物質を探索し、それぞれ水溶性酸性画分、中極性水溶性画分、水溶性中性画分に存在することを明らかにした。 3)土壌含水率70%(健常)・20%(ストレス)のネムノキ株に対するチョウの産卵選好性を調べたところ健常株で有意に多くの産卵が見られた。少量の植物試料でも検出できるPin量を調べたところ、土壌水分量の少ない(過度に乾燥ストレスをうけた)植物株で増加する傾向が見られ、一部の株では濃度が2%近くに達した。Pin濃度が0.5%を超えると本種の産卵反応が低下することから、乾燥ストレスをうけた植物を嫌う傾向をPinの動態から説明できた。 4)キタキチョウの味覚受容体遺伝子の探索を進め、雌の前脚に特異的に発現している3遺伝子および雌雄の脚に発現している糖受容体コード遺伝子1つを発見した。
|
Remarks |
所属学部の要請を受け、研究成果のアウトリーチとして高校生向け大学案内「夢ナビライブ2021」の動画を作成した。
|
Research Products
(4 results)