2020 Fiscal Year Research-status Report
Investigation of factors affecting population decline of Slaty-backed Gulls: impact assessment of human-derived food resource
Project/Area Number |
19K06083
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
風間 健太郎 早稲田大学, 人間科学学術院, 准教授 (60726842)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 漁業廃棄物 / 人工物への依存 / 繁殖 / 絶滅危惧 / 生理状態 |
Outline of Annual Research Achievements |
国内で繁殖するオオセグロカモメはここ20年ほどでその生息数を急激に減らしている。この原因の一つは本種の餌や環境利用の変化と考えられている。本種は近年漁業廃棄物など人間活動起源の餌(以下、人工餌)に強く依存するようになったといわれている。人工餌は魚類など天然の餌に比べて栄養価が低い場合が多く、それへの依存は繁殖率や生残率の低下を招くと指摘されている。しかし、本種の人工餌の利用程度およびその利用が本種の繁殖や生残に及ぼす影響はよくわかっていない。本研究では、はじめに小型GPS記録計による行動追跡を行いオオセグロカモメの通年にわたる採餌場所を調べ、個体が一年を通じてどれほど人工餌を利用しているかを明らかにする。さらに、この追跡調査に個体の生理状態の分析と繁殖モニタリング調査を組み合わせることで、本種の通年にわたる人工餌の利用程度が個体の繁殖や生残に及ぼす影響についてその行動・生理学的メカニズムまでを含めて検証し、本種の減少原因を解明する。 研究2年目である2020年はCovid-19感染拡大にともなう緊急事態宣言により、調査最盛期である5月に野外調査が実施できず、当初予定していた新たなGPS記録計の装着はできなかった。6月以降に北海道利尻島を訪れ、2019年に装着済みのGPSからデータを得るとともに、装着個体の給餌行動を観察した。捕獲個体は繁殖期間中、全体の6割程度の時間を漁港で過ごした。漁港においては投棄魚や残飯を採食した。これらの餌は海洋において採食したイカナゴなどの天然由来の餌に比べて重量あたりの栄養価が低かった。漁港を訪れた際の採食トリップ長は海洋を訪れたときに比べて長かった。以上より、漁港における採食の効率は海洋よりも低いことが示唆された。今後、血液から安定同位体比や酸化ストレスレベルを測定し、個体の環境利用と生理状態の関連を明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年はCovid-19感染拡大にともなう緊急事態宣言により、調査最盛期である5月に野外調査が実施できず、当初予定していた新たなGPS記録計の装着はできなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は北海道利尻島において計画通りに野外調査を実施する。また、血液試料については2019年度の分と合わせて2021年度に分析を実施する。野外調査と血液分析の終了後はただちに成果のとりまとめに入る。
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Causes of Carryover |
Covid-19感染拡大にともなう緊急事態宣言の発出により、最適な時期に野外調査が実施できず、当初装着予定であったGPS記録計の購入を次年度に繰り越した。また県をまたぐ移動も長期間制限されたため、他研究機関で実施予定であった血液分析も延期した。そのため、移動にかかる旅費および分析消耗品の支出も発生しなかった。
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Research Products
(6 results)