2019 Fiscal Year Research-status Report
モンゴル高山域に生息する大型草食動物の遺伝的多様性評価と保全単位の提言
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19K06087
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
杉本 太郎 明治大学, 研究・知財戦略機構, 研究推進員 (20570493)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | モンゴル / アイベックス / 糞DNA / 性判定 |
Outline of Annual Research Achievements |
モンゴルの西部から南部にかけて広がる山岳地帯には、高山環境に適応した希少な大型草食動物が生息している。本研究ではモンゴルのアルタイ山脈全域を対象とし、学術研究の進んでいない高山性草食動物の遺伝的多様性の評価及び保全単位の提言を目指す。 今年度は11月中旬から2週間、ゴビアルタイのアルタイ市を拠点に試料採集を実施した。高山性草食動物のうち、野生ヤギ(アイベックス)の群れは複数回発見することができ、新鮮な糞試料を採集することができた。一方野生ヒツジ(アルガリ)は一度も観察することができず、試料採集はできなかった。同行したアルタイ市レンジャーらのフィールド調査でも、ゴビアルタイ地域で野生ヒツジを観察することが近年難しくなってきているということであった。 採集した試料はウランバートルへ輸送し分析を実施した。2種類のDNA抽出方法を試したところ、いずれもDNA分析に耐えうる十分なDNA量が抽出できていることを確認した。種の判定はミトコンドリアDNAのコントロール領域の配列決定から行った。またウシ科で増幅が確認されている複数の性判定マーカーを試したところ、性染色体上にあるアメロゲニン遺伝子を増幅するマーカーが機能することを確認した。しかし新鮮な糞に比べて、古い糞では性判定の成功率は悪かった。使用したアメロゲニンマーカーは増幅断片が長いため、成功率を上げるためには、短い断片を増幅するマーカーを再デザインするか、別の遺伝子座でのマーカー開発が必要だと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
モンゴル西部の都市ホブド近郊の複数の山で現地協力者らにより試料採集が順調に行われている。またDNA抽出方法と性判定方法の実験手法を確立することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
生息が確認されている複数の地域で試料採集を実施する。また核DNA分析に用いるマイクロサテライトマーカーの探索を行う。
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Causes of Carryover |
2月から3月にかけて現地での試料採集と実験を予定していたが、日本からの渡航者に対する入国制限措置があり渡航を断念したため。
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