2022 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of frenzy and proposal of conservation plan in hawksbill and loggerhead turtles
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19K06089
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
斉藤 知己 高知大学, 教育研究部総合科学系複合領域科学部門, 教授 (80632603)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河津 勲 一般財団法人沖縄美ら島財団(総合研究センター), 総合研究センター 動物研究室, 上席研究員 (50721750)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 絶滅危惧種 / 資源保全学 / 動物生態学 / フレンジー / 孵卵温度 / 日内変動 / タイマイ / アカウミガメ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はアカウミガメとタイマイを対象に、幼体の生残率に関わる形態・泳力等の孵卵温度に伴う変化を明らかにし、最適孵卵条件を提示することを目的とした。 アカウミガメ卵は、2022年5~8月に高知海岸で確保した3巣278卵を使用し、タイマイ卵は、2022年7~8月に沖縄美ら海水族館人工浜で産卵された3巣346卵を使用した。孵卵実験は25~33℃の範囲で一定温及び31±2℃もしくは33±2℃の変動温に設定して行った。その後、各実験区で形態、泳力及び血中グルコース濃度の計測を行った。 実験後、低温区(25℃以上28℃未満)、中温区(28℃以上31℃未満)、高温区(31℃以上34℃未満)の3つの孵卵温度帯に分けて結果を解析した。孵化率は、アカウミガメでは中温区と高温区で高く、タイマイでは中温区で高い傾向が見られた。外部形態は、両種ともに孵卵期間が長い低温区でサイズが大きくなる傾向が見られた。泳力は、アカウミガメでは低温区より中温区と高温区で大きく、タイマイでは中温区が他の実験区よりも大きい傾向が見られた。遊泳開始時の血中グルコース濃度は、アカウミガメでは、低温区より中温区および高温区で高く、タイマイでも低温区より高温区で高い傾向が見られた。 両種とも、高温孵卵の孵化幼体は体サイズが小さいが、遊泳能力が高くて沿岸域を速やかに離れることができる。一方、低温孵卵の孵化幼体は遊泳能力では高温孵卵個体に劣るが、体サイズが大きく生まれる点で、捕食のリスクは低いと考えられる。しかし、低温孵卵個体は血中グルコース濃度が低く、元々使えるエネルギーが少ない状態で海域に分散することになり、早々に初期餌料と遭遇しない限り生残率が低くなると考えられる。この事や、孵化率も含めた全ての結果を考慮すると、孵化幼体の生残率を高めるには両種ともに低温区よりも中温区や高温区での孵卵が適していると考えられる。
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Research Products
(7 results)