2019 Fiscal Year Research-status Report
Determine the spawning mechanism and development of equipment for spawning of Bitterling, Tanakia tanago.
Project/Area Number |
19K06093
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
秋山 信彦 東海大学, 海洋学部, 教授 (20256192)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 人工産卵基質 / ミヤコタナゴ |
Outline of Annual Research Achievements |
【方法】カワシンジュガイの貝殻の片面をシリコンで型取り,作製したシリコン型に2液性の黒色ウレタン樹脂を流し込んで入水部と出水部の構造の異なる4種類のウレタン製基質を作製した.人工産卵基質のシリコンチューブを外部フィルターにコック付きホースジョイントで連結し,コックにより出水孔の流速を調節した.4種類の基質を収容し,10~17時の7時間を6回,ビデオカメラで撮影し,skimming,touchingの行動数を計数して,計42時間の繁殖行動数を比較した.また,実験終了後に産卵基質内の卵を計数し,卵発生が見られた場合を受精卵とした. 【結果と考察】基質1の出水部を基質内部に設置した構造である基質2では,基質1に比べてtouching数が少なかった.基質2の出水孔からの水流が基質1よりも拡散しやすかったことから,ミヤコタナゴが出水を認識しにくく,基質2の選択性が低くなったと考えられる.また,出水部が入水管に近い構造の基質3,4では,出水部が入水管から離れた位置にある基質1,2に比べてtouching回数が少なかった.基質3,4では出水部からの水が基質外へ流れるだけでなく,入水管にも吸い込まれているのが確認された.本実験では出水流速を先行研究で繁殖行動の活性が高かった70mm/secに設定したが,基質3,4では入水管に出水が吸い込まれることで,出水孔からの出水流速が設定した値よりも遅くなり,選択されにくかったと考えられる. 以上の結果より,産卵基質からの出水孔からの水流が拡散しにくい構造にすることで産卵基質の選択性を高めることができると考える.さらに,卵巣腔液を基質外に排出する構造の産卵基質の選択性を高めるためには,卵巣腔液を基質外に排出しない産卵基質より出水流速を速く設定するか,入水管に出水が吸い込まれない構造に改良する必要があると考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定では令和元年,2年度(平成31,32年度)で,タナゴの産卵基質へのアプローチ方向や,受精までの時間など基礎的な部分を解明し,産卵基質で受精卵が得られるようにする事が主目的である.すでに,受精卵を得られる構造を解明したが,産卵数が少ないことから,更なる改善を必要とする.令和2年度では令和元年度に作成したモデルをさらに改良する.以上の進捗状況からおおむね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は進捗状況にも記載したとおり,概ね順調に進展しており,特に当初の研究の推進方法を変更する予定はない.一方で,新型コロナの拡散防止施策として大学内への学生,大学院生の入構が禁止された.タナゴは春が産卵期であることから,最も研究を進められる時期の対応が難しい状況となっている.今後の状況を鑑みてタナゴの産卵時期を日長時間と水温調節によって変更させて実験を進める可能性がある.
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Causes of Carryover |
模造二枚貝の作成のための消耗品費が予定より安価であったことと,二枚貝採集について共同研究者の大学院生が採集に同行しなかったため.残額については二枚貝の餌として珪藻が二枚貝の餌料としてすぐれているが,高額であったためにクロレラのみとしてきた.今後,珪藻の購入費としても利用する.
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