2020 Fiscal Year Research-status Report
Determine the spawning mechanism and development of equipment for spawning of Bitterling, Tanakia tanago.
Project/Area Number |
19K06093
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
秋山 信彦 東海大学, 海洋学部, 教授 (20256192)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 人工産卵基質 / ミヤコタナゴ / 繁殖生態 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,コロナウイルス感染拡大防止のため春学期が大学院生,学生の入構が一切禁止された.ミヤコタナゴの繁殖期と重なったために,本来の繁殖期の実験ができなかった.夏から入構できるようになったため,日長時間と水温を制御し,秋から産卵行動が開始した.本年度は昨年度の課題となった入水・出水構造について検討することとした.特に雄のskimmingや雌のtouchingといった行動は,異性の繁殖行動に伴って放出される化学物質が解発フェロモンとなって生ずる行動である可能性がある.そのために,これらの化学物質が装置から速やかに放出される必要があることから,装置の構造を検討した. 【方法】昨年度同様に2液混合型のお樹脂を用いて人工産卵基質を作成した.本年度は,出水部分の構造を変えた4種類の人工産卵基質を作成し,同時に産卵水槽に設置し,昨年同様に行動回数を比較した. 【結果と考察】4種類のうち2種類では,産卵後の放精が行われなかった.受精卵が得られた2種類の基質では,1種類では,touchingが82回でそのうち8回で成功し,8粒の受精卵が得られた.もう一つの基質では,34回のtouchingのうち3回で成功し6粒の受精卵にとどまった.この2種類の中で産卵回数が少なかった基質では,出水部から排出される水が入水部に引き込まれてしまい,出水量が低下する現象が見られた.しかし,比較的産卵量が多い基質でもtouching成功率は生きたカワシンジュガイの場合より半数以上となることから,さらに改良の必要がある.特に出水部の構造が実際のカワシンジュガイと幅,形ともに異なっていることから,この部分について今後改良する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は,ミヤコタナゴの繁殖期にコロナウイルス感染症対策の一環で大学への入構ができなくなってしまったため,研究については大幅な遅れをとった.秋に産卵するように日長時間や水温を制御して実験が行えるようになったのが10月頃からであった.そのような中で,人工産卵基質の改良によって,従来よりも産卵効率の良い構造を明らかにすることができた.また,現在繁殖行動の中で二枚貝からの出水角度と産卵成功率についてと,産卵管の構造特性について明らかになった部分を論文として投稿できるよう準備している.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き,人工産卵基質の構造を検討することと,当初予定していた卵や仔魚の管理システムについても本年度は検討する予定である.投稿論文については,5月中に投稿する予定で進めている.
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Causes of Carryover |
消耗品類が予定より安価であったために2020年度の実支出額が予定より少なかった.2021年度については,仔魚の育成システムについても構築するため,それらの消耗品購入費として利用する.
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