2021 Fiscal Year Research-status Report
土地利用の履歴が微生物群集の変化を介して植生に及ぼす効果
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19K06095
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
下野 綾子 東邦大学, 理学部, 准教授 (30401194)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大和 政秀 千葉大学, 教育学部, 教授 (00571788)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アーバスキュラー菌 / メタゲノム / 半自然草原 / 土地利用の履歴 / 草原再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
過去の土地利用の履歴が長期にわたり植生に影響を与えることが指摘されてきた。その原因として、本研究では微生物群集との生物間相互作用に着目し、昨年度までに、菌根菌群集の群集構造は、宿主植物の違いよりも土地利用の履歴によって異なることを明らかにした。 そのため半自然草原および造成地の草地から単離したアーバスキュラー菌根(AM)菌のうち、半自然草原優占種MG1-16(VTX00166)、造成地優占種YH2-4(VTX00295)、半自然草原・造成地両優占種MG1-2(VTX00113)をそれぞれ選出し、栽培試験に供試した。栽培試験は草原性植物としてノハラアザミ、クララ、ツリガネニンジン、アキノタムラソウ、ウツボグサを、外来種としてセイタカアワダチソウを供試した。供試植物の種子を滅菌後、冷湿処理し発芽実験を行い、発芽個体を滅菌培土に移し、各AM菌を接種したポットと接種しないコントロールポットを用意した。25℃、16時間日長の条件で2ヶ月間栽培し、栽培終了後、シュートを切り取り乾燥重量を測定した。また、根を洗い出し、0.1%トリパンブルー溶液で染色し、格子法によってAM形成率を測定した。供試植物のうち、ツリガネニンジン、アキノタムラソウ、セイタカアワダチソウの3種でAM菌の接種効果が高かった。3菌株の効果は植物種によって異なったが、顕著な差は見られなかった。 また竹中技術研究所における草原再生実験において、AM菌の回復程度を調査した。2×2mの区画27個において15個は半自然草原由来の土壌を20cm深で播きだし、12個については造成用土をそのまま用いた。草原再生1年目において、AM菌の多様性は草原由来土壌の区画において、半自然草原と同程度まで回復したものの群集構造は異なり、土壌撹乱をすることで、AM菌の群集構造が変化することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染防止策等のために、マネジメント業務が増大したことで、年度内に投稿論文としてまとめることが出来なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに十分なデータは取得したので、最終年度は論文を投稿することに注力する。
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Causes of Carryover |
現地開催で参加する予定だった学会がオンライン開催へと変更になり、旅費が残ったこと、論文投稿が遅れており、論文校閲費用・論文投稿量が残ったことによる。差額は来年の学会参加費および論文投稿費用に使用する。
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