2021 Fiscal Year Annual Research Report
侵略的外来種ソウシチョウにおける捕獲技術の高度化と管理ユニット策定
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19K06102
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Research Institution | Lake Biwa Museum |
Principal Investigator |
天野 一葉 (桝永一葉) 滋賀県立琵琶湖博物館, 研究部, 特別研究員 (50526316)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石橋 靖幸 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (80353580)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 集団の遺伝的構造 / 管理ユニット / 遺伝的分化 / 特定外来生物 / マイクロサテライト / 外来鳥類 / 遺伝的多様性 / 保全生態学 |
Outline of Annual Research Achievements |
特定外来生物のソウシチョウは、近年日本各地の森林に侵入・定着して分布を拡大させ、在来鳥類群集を含めた地域の生態系に深刻な影響を与えている。本研究では、本種を広域な分布拡大期にある森林性外来鳥類のモデル動物として、既存の捕獲技術の改良や遺伝情報に基づいた駆除のための管理ユニットを設定することにより、効果的な管理手法の確立を目指す。 最終年度は関東、東北、近畿、中国、四国地域の合計8箇所において捕獲調査を行い、本種の生息状況・捕獲条件の記録および血液サンプルの採集を行った。サンプル数や生息情報が少なかった地域からもサンプリングを行うことができた。調査地の選定ではブナ林やミズナラ林とスズタケなどのササ群落のある場所を候補地として絞り、web上の環境写真や観察記録、全国的な鳥類調査の記録などを参考にして調査を行った。捕獲はかすみ網を林内のササ群落や低木の藪の中や側面に張り、同種の音声(さえずりや警戒声、仲間を呼ぶ声)を流して行った。 これまで開発を行ってきた12座のマイクロサテライトDNAマーカーのうち、ナルアリルが検出されず、ハーディワインベルク平衡からの大きな逸脱もみられなかった8座のマーカーを用いて、日本の19の地域集団(N = 621個体)内および地域集団間の遺伝的構造について検討した。その結果、すべての集団で高いヘテロ接合性(平均0.83-0.92)が示された。遺伝的分化度FSTと地理的距離の間には正の相関が見られた。プログラムSTRUCTUREを用いた解析では集団は3つのクラスターに分けられ、中国大陸から3つの系統が輸入され定着したことが示唆された。これらのクラスターに基づき4地域(筑波山以北、東海から近畿と香川県、中国から四国(香川県を除く)、九州)が区別されたため、これらを日本における本種の管理単位と考え、クラスター間の混合が進む地域を優先的な駆除対象地域として提案する。
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Research Products
(1 results)