2020 Fiscal Year Research-status Report
Solar panel installations considering forest conservation in rural areas
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19K06109
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
板谷 明美 三重大学, 生物資源学研究科, 准教授 (70447861)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 再生可能エネルギー / 里山風景 / メガソーラーパネル / 災害 / GIS |
Outline of Annual Research Achievements |
2012年の再生可能エネルギーの固定価格買取制度(以下,FIT)のスタートをきっかけに,わが国では太陽光発電施設,特に大型の産業用地上設置型太陽光パネル(いわゆるメガソーラーパネル)の急激な建設ラッシュが起きている。急激な増加により様々な課題が生じている。中山間地域の里山風景の中に突如として設置された巨大な太陽光パネルは景観を大きく損なう。急傾斜地の森林を大面積皆伐して設置すれば,近年のゲリラ豪雨などと相まって斜面崩壊をまねいて甚大な災害を引き起こす可能性がある。また,一般に太陽光パネルの耐用年数は17年と言われている。FITでは,10kW以上の産業用では20年間と買取期間が定められており,FITのメリットがなくなった耐用年数経過後の放置が懸念される。放置され太陽光パネルはそのまま産業廃棄物となり,豪雨や地震にともなう土砂流出によって周辺や下流で災害を引き起こす原因となる可能性も高い。したがって,これまで以上に敏感に立地条件を見極め,里山景観を保全するとともに,災害に結び付くことのない太陽光パネルの配置や管理を行うシステムが必要不可欠である。 申請者らのこれまでの研究で,メガソーラーパネルが田畑や森林などの里山景観の中に設置されていることが多いこと発見し,里山の美観を損なっている可能性を指摘した。本年度は,周辺の住宅や道路からの視点で太陽光パネルが里山景観に影響を与える可能性をGISのViewshed解析を用いて推定した。Viewshed解析では,地表面の高さを示す数値表層データ(DSM:Digital Surface Model)を用い,周辺の住宅や道路からの可視・非可視域を推定し,現在の太陽光パネル位置とのGISによるオーバーレイ解析によって里山景観に影響を与える太陽光パネルの立地条件を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に解析は進んでいるが,当初の予定では,現地調査を行い,推定した立地条件について検証する予定であったができなかった。また,研究成果を論文化して投稿する予定であったが,現在投稿準備中であり,詳細を詰め,英文校閲が終わり次第投稿する。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度十分に行えなかった現地調査を行う。昨年度の解析結果を論文として投稿する。
また,申請者らはこれまでのスギ人工林に設置したリタートラップの解析において,強風により落葉・落枝が多い立地条件があることを示唆した。この研究成果を発展させ,GISによるオーバーレイ解析と一般化線形混合モデル(GLMM)による統計解析を駆使して風害が起こりやすい立地条件を明らかにする。これに加え,DEM(Digital Elevation Model;数値地形図)を活用して崩壊の危険度が高い場所を検出するCS立体図および地質情報を駆使し,崩壊が起こりやすい立地条件を明らかにする。これらの立地条件と台風などにより破壊された太陽光パネルの位置情報を用い,推定した立地条件について検証する。
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Causes of Carryover |
予定していた現地調査や学会参加が新型コロナウイルスの影響できなかったため,出張旅費及び人件費の使用が少なかった。 次年度はオンラインによる参加も含めて積極的に現地調査や学会発表を行う。また,昨年度投稿できなかった論文を今年度投稿する。
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