2021 Fiscal Year Research-status Report
Chlorphytum comosum類の都市内帰化状況に関する研究
Project/Area Number |
19K06110
|
Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
山田 宏之 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (80314558)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | オリヅルラン / 生育分布 / 最低気温 / 低温障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度調査においては、大阪府大阪市、京都府八幡市、京都府京都市において、2020年度までに行った調査区内のオリヅルランの生存確認調査を行った。その結果、近年希な低温となった2021年1月の寒波の影響等により、生育阻害を受けている株が多数見つかり、一部の株は消失していた。消失の原因としては、寒害による枯死というよりは、人為的影響により除去された物が多いと推定された。しかし、調査区内で最も寒冷であると考えられる京都市北部や八幡市郊外の株は残存しており、2021年1月程度の寒波には耐えられるものと考えられた。八幡市郊外で、2021年1月に大きな被害を受けて、地上部が全て枯死してしまった株について継続的に観察を行ったが、2021年夏季には障害を受ける前と同等の大きさにまで回復していた。-5~-6℃程度の低温に暴露されても、地下部が生き残り、速やかに再生することが確認された。 2021年12月から2022年3月まで、八幡市内7箇所、京都市内4箇所に自記温度計を設置し、地域による最低気温の違いを把握した。その結果、八幡市内、京都市内ともに2022年2月25日に冬季の最低気温を観測し、八幡市内では最も校外に位置する八幡神社で-3.7℃、京都市北区で-2.8℃を記録した。これらの観測点近くのオリヅルランはいずれも生存しており、この程度の低温までは十分に耐えられることが実証された。また、それぞれの市域内での最低気温差は、八幡市で最大1.7℃、京都市で2.0℃となり、数キロメートル程度の距離でも比較的大きな気温差が生じていることが確認された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、大学から出張調査を禁止されている期間が長く、現地における確認調査が十分には行えなかった。研究協力者によって大阪市、八幡市、京都市の現地のオリヅルラン生存確認調査は予定通り行うことが出来たが、2020年度までに生育分布調査を行った東京都文京区での確認調査が行えていない。 やむを得ず調査期間の1年間の延長を申請し、それが受理されたため、2022年度において文京区での生育確認調査を実施する予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
2020年度までに生育分布調査を行った調査区のうち、東京都文京区での生存確認調査が行えていないために、まずはこれを実施する。そして生育限界線に近いと考えられる京都市、八幡市の郊外の生存確認株については、2022年度も追跡調査を行う予定である。更に、八幡市においては冬季の気温測定を引き続き行っていきたいと考えている。 今後も新型コロナウイルス感染症の再拡大の可能性もあるが、感染状況が落ち着いている期間を有効に活用して調査を行っていきたい。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響により予定通りの出張調査が実施できなかったため、次年度使用額が生じた。研究期間の1年間の延長が認められたため、2022年度にこれを使って、残りの調査を実施する予定である。
|