2021 Fiscal Year Research-status Report
棚田地帯での圃場整備に際して実施可能な畦畔草原保全手法の開発および標準化
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19K06112
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
澤田 佳宏 兵庫県立大学, 緑環境景観マネジメント研究科, 准教授 (40435897)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松村 俊和 甲南女子大学, 人間科学部, 教授 (60589547)
藤原 道郎 兵庫県立大学, 緑環境景観マネジメント研究科, 教授 (80250158)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 半自然草原 / 草原生植物 / 保全 / 圃場整備 / 畦畔草原 / 小規模圃場整備 / 山間農地 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、圃場整備時に実施可能な畦畔草原保全対策を確立することを目的としている。そのためには、様々なタイプの圃場整備地で植生への影響を把握し、保全効果のみられた事例を探すことは有効である。今年度は、山間部で行われた小規模な圃場整備および「丸い圃場整備」(景観保全のための曲線型圃場整備)が畦畔草原に及ぼす影響を把握することとした。 調査地は徳島県上勝町の未整備の畦畔1ヶ所と圃場整備後の畦畔2ヶ所とした。圃場整備後の畦畔のうち1ヶ所は1990年頃に通常の圃場整備が行われた地区で、もう1ヶ所は2000年頃に曲線型圃場整備が行われた地区である。これら2ヶ所の圃場整備面積はいずれも約1ヘクタールで、圃場整備事業としては小規模であった。これらの場所に1m×1mのコドラートを複数配置し、出現種とその被度を記録した。 調査の結果、1m2あたりの平均出現種数は、未整備地では約38種、通常の整備地では約31種、丸い整備地では約22種で、未整備地が最も高かった。種組成を比較すると、未整備地に高頻度で出現したリンドウやアキノキリンソウなどが圃場整備地では欠落し、先行研究と同様の傾向を示した。一方、先行研究で圃場整備による欠落傾向が指摘されていた種のうち、オガルカヤやアブラススキなどのいくつかの種は、本調査地では整備後の畦畔にも出現した。また、外来種率は整備の有無にかかわらず低く、圃場整備の影響は先行研究の指摘に比べ軽微であった。また、丸い圃場整備と通常の整備の違いは顕著ではなかった。小規模な圃場整備事業では周辺部からの在来種の再侵入が起こりやすいことや、山間部にあるために外来種の種子供給源が少ないことがこのことと関係している可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ禍での研究メンバーの教育エフォート・組織運営エフォートの急上昇がつづいていたこと、また、中山間地域での現地調査が実施しにくい状況がつづいたことから、当初計画よりも遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究機関を延長し、約2年遅れで当初計画に沿った調査を進める予定である。
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Causes of Carryover |
前述の理由により研究が計画より遅れているため。最終的に2年の延長を検討している。
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