2022 Fiscal Year Research-status Report
棚田地帯での圃場整備に際して実施可能な畦畔草原保全手法の開発および標準化
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19K06112
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
澤田 佳宏 兵庫県立大学, 緑環境景観マネジメント研究科, 准教授 (40435897)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松村 俊和 甲南女子大学, 人間科学部, 教授 (60589547)
藤原 道郎 兵庫県立大学, 緑環境景観マネジメント研究科, 教授 (80250158)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 半自然草原 / 草原生植物 / 保全 / 圃場整備 / 畦畔草原 / 表土移植 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、圃場整備時に実施可能な畦畔草原保全対策を確立することを目的としている。そのためには、様々なタイプの圃場整備地で植生への影響を把握し、保全効果のみられた事例を探すことは有効である。圃場整備時に採りうる保全手法の一つとして、畦畔の表土移植が考えられる。淡路島北部の中山間地では試験的に表土移植を実施した場所がある。今年度は、表土移植から5年目の植生の状況を調査した。 調査地は淡路島北部I地区とした。I地区では、2017~2018年に圃場整備の工事が行われた。2017年5月(工事開始直前)にフロラ調査を実施したところ、工事区域に種の豊かな畦畔が含まれることが判明した。そこで、県土地改良事務所と地元営農組合と協議を行い、一部の畦畔の表土を、造成後の畦畔に移植した。工事工程の都合から、表土移植工事は2017年8月に実施された。良好な畦畔の表土を剥ぎ取り、その日のうちに造成済みの畦畔に運搬し、幅2m長さ約100m厚さ約10cmで敷き均し、転圧した。この移植時に表土は攪拌されている。 植生調査は、移植3カ月後(2017年12月)、移植1年後(2018年9月)、および移植5年後(2022年12月)に実施した。 表土移植の直後および1年後の調査では、ツリガネニンジン・ヤマハッカ・ノアザミ・ネコハギなど、圃場整備によって欠落しやすい種群の生育が確認された。しかし、5年後の調査では、これらの種のほとんどが欠落、あるいは大幅に減少しており、一方で、セイタカアワダチソウ・ヒメジョオンなどの外来種、ホトケノザ・カラスノエンドウ・ノゲシなどの畑地雑草が増加した。この事例では、表土移植は一時的には保全効果を示したが、長期的には保全効果が失われていくことが示された。その原因は不明で、今後の調査によって把握する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究メンバーの多忙により研究エフォートが不十分となったため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間を延長し、約2年遅れで当初計画に沿った調査を進める予定である。
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Causes of Carryover |
前述の理由により研究が計画より遅れているため。
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