2020 Fiscal Year Research-status Report
景観保全活動が天然記念物鳥取砂丘の砂移動および植生分布の変動に与える影響の評価
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19K06116
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
高山 成 大阪工業大学, 工学部, 准教授 (40403373)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 玲二 鳥取大学, 乾燥地研究センター, 准教授 (80315457)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 無人航空機(UAV) / 砂丘地の管理 / 景観保全 / リモートセンシング / 地理情報システム |
Outline of Annual Research Achievements |
UAVを使った空撮画像と人工衛星Landsatのアーカイブデータを活用した,砂丘地における植被率経年変化の推定法について提案し,航空測量成果に基づいた砂面変動速度の解析と併せて,両者の空間分布と長期変動を,新たに定義した30mの区画単位で評価する手法を提案した.解析の結果,砂丘地の草原化問題については,1990年頃に植被率が0.40を超えていた飛砂防備保安林伐採地付近が,1996年頃から現在まで植被率0.14以下で推移しており,景観保全活動が一定の成果を上げていることが示唆された.一方,後背地に対する飛砂防止については,鳥取砂丘の景観を規定する三本の砂丘列の内陸側で砂の堆積(堆砂)傾向が顕著で,このうち最大規模の第二砂丘列は30m程度内陸側へ前進していた.また,砂丘地の最も内陸に位置する第三砂丘列では,砂丘地特有の盆地地形“追後スリバチ”が縮小の一途を辿るなど,新たな問題が生じていることが明らかとなった.植生分布についてはUAV空撮と人工衛星リモートセンシングの活用により,植生調査が実施される間の観測・監視がある程度可能となった.近年,廉価なUAVが急速に普及するようになり,搭載されるカメラも高解像度なものが多い.空撮の特性を活かした新たな地上観測のツールとして,UAVの有用性が認識されつつある.空撮測量を併せた植生判別・DEM構築法を確立すれば,これまで難しかった砂面変動と植生分布の面的な同時観測を行うことが期待できる.UAV空撮に基づくDEM構築により,砂面変動を把握する手法について検討を行った.その結果,UAV本体の位置の測位精度は十分クリアできている反面,砂面上に評定点を精度よく設定するには3D撮影が不可欠であることが分かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの拡大により,当初予定していた現地観測を十分に行うことができなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
砂面変動に対する自然変動・人為的要因を含めた因果の分析と景観保全活動の効果に関する評価 これまでも解析を行ってきた長期の砂面変動に対しては,植被率・地形条件・砂防措置の内容・気象条件・砂面状態などを説明変数として,変数間の相互関係と砂面変動トレンドとの因果関係の分析を行う.変数は代表者らが提案した30mの地域区画を集計単位とし,砂面変動速度に対する因果モデルを構築する.さらにモデルと過去の中長期の砂面変動のトレンドとの整合性について検討する.また,冬季に砂面が大きく動く気象イベント(寒気の吹出し)の前後に実施した空撮結果に基づき,気象イベントによる短期間に大規模に発生する砂面変動の実態を把握し,砂面変動に影響している自然要因と人為的要因の分離を試みる.
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Causes of Carryover |
測量用ドローンを予定より安価に調達できたこと,新型コロナウイルスの拡大により参加予定だったシンポジウムが中止あるいはオンライン開催に変更されたこと,現地調査に自己資金を使用したことなどにより予算に若干の余剰が生じた.一方,これまでの検討により,限られた調査時間内に一機のドローンで砂丘地全体をカバーすることは困難であることが明らかとなっている.調査の遅れを取り戻すために二機目のドローンの購入を検討する.
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