2020 Fiscal Year Research-status Report
絶滅危惧樹木ヤクタネゴヨウの保全に資する菌根菌の埋土胞子の生存期間の解明
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19K06119
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| Research Institution | The University of Tokyo |
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Principal Investigator |
村田 政穂 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 特任研究員 (20582381)
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| Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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| Keywords | 絶滅危惧樹木 / 外生菌根菌 / 埋土胞子 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、樹木の保全・保護に菌根菌を活用した手法を開発することを念頭に、絶滅危惧種のヤクタネゴヨウの更新に重要な役割を持つヤクタネショウロの埋土胞子の生存期間を解明することを目的としている。
本研究では、土壌中の菌根菌の胞子をいったんヤクタネゴヨウの実生に感染させて菌根を形成させ（バイオアッセイ法）、できた菌根をDNA解析することによって菌種を同定した。以下の２つの課題に分けて研究を行った。
１．現地での埋土胞子の生存期間（長期）の推定：播種から6ヶ月後にバイオアッセイ苗を採取し、実生の菌根の観察した。各菌根形態からDNA解析用サンプルを選別し、DNA解析して菌種を同定した。その結果、ヤクタネショウロの埋土胞子は少なくとも16年は生存することができることが明らかになった。本結果は、第132回日本森林学会で発表した。
２．実験室での埋土胞子の生存期間（短期）の検証：屋久島と種子島のヤクタネゴヨウ自生林分でヤクタネショウロを採取した。また、乗鞍岳でハイマツショウロを、東京大学大学院新領域創成科学研究科の大学内の圃場で育苗中のリュウキュウマツの苗木からアカショウロを採取した。採取したキノコから胞子懸濁液を作成し、滅菌土壌に作成した胞子懸濁液を接種した。胞子懸濁液を接種した土壌を４種類の環境条件で保存した。保存期間は土壌採取後0日、1、1.5、2、3、4、5、10年に設定した（本申請では２年までを明らかにする予定）。このうち、保存期間0日のバイオアッセイ苗は現在育苗中である。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
課題１「現地での埋土胞子の生存期間（長期）の推定」の実験は終了し、懸案事項であった課題２「実験室での埋土胞子の生存期間（短期）の検証」のヤクタネショウロのキノコの採取が屋久島と種子島ともにでき、実験を進めることができたため、おおむね順調に進んでいると考えられる。
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| Strategy for Future Research Activity |
まだ実験が終了していない課題２「実験室での埋土胞子の生存期間（短期）の検証」を中心に研究を行う。具体的には、現在保存中の土壌のうち、胞子懸濁液を接種後1、1.5、2年の土壌でバイオアッセイを行い、６ヶ月育苗後、菌根の形成状況を確認し、菌根菌の種同定して、対象の菌種の生存の有無を明らかにする。課題２の実験をまとめて学会で発表を行うとともに、すべての成果をまとめて論文を作成する。
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| Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、調査期間や回数を少なくしたことと学会が中止やオンラインでの開催になったことで、使用した旅費が少なかったことである。
生じた差額を利用し、追加の実験として枯死木の周辺で生存していた埋土胞子とその枯死木に最も近い生きたヤクタネゴヨウの周辺の埋土胞子を集団遺伝解析を用いて比較をし、同一の集団ではないことを確認する試験を行う予定である。また、当初の計画通り、昨年度行った実験の続きを行い、結果を出し、可能であれば学会発表および論文を作成する。
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