2020 Fiscal Year Research-status Report
長期の無性繁殖を行うタケ類における有性繁殖の適応的意義の解明
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19K06120
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
久本 洋子 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (60586014)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | bamboo / 一斉開花 / 有害遺伝子 / 体細胞突然変異 / ジェネット |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、開花特性の異なる2種のタケ類においてジェネット内の体細胞突然変異とエピジェネティック変異を調べることで、タケ類における有性繁殖は適応的なのかを検証するものである。タケ類は60~120年の長期の無性繁殖後に一回有性繁殖するといわれているが、実際は種類によって有性繁殖を成功させるものと失敗させるものがある。タケ類が長期間の無性繁殖を続けつつも有性繁殖の機構を放棄していないことから、有性繁殖には例えば有害遺伝子の排除といった何がしかのメリットがあると推察される。 本研究では、開花様式の異なるモウソウチクとハチクにおいて開花前後でジェネット構造を調査し、ジェネット内の体細胞突然変異とエピジェネティック変異の違いを比較することを目的とした。 2020年度には、埼玉県荒川流域にあるハチクの未開花個体群において開花が確認されたため葉のサンプリングを行った。また、2019年度に実施できなかった再生した稈の調査と葉のサンプリングを実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年度は、2019年度の台風による調査地の被害と2020年1月以降には新型コロナウイルスの感染拡大防止の理由から調査地へ赴くことが困難となり、サンプリング調査が実施できない期間が長く、研究の進捗に影響が生じた。しかし、2020年6月に最低限のハチクの開花稈と再生稈のサンプリングは実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
最低限のモウソウチクとハチクのDNAサンプルを得ることができたので、今後はDNA抽出を行い、ジェネット内の体細胞突然変異とエピジェネティック変異の違いの比較を行う予定である。
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Causes of Carryover |
2019年9・10月の台風による調査地への被害および2020年の新型コロナウイルス感染拡大を受けた出張制限により当該年度中に計画どおりサンプリングを実施することができず研究の進捗が遅れ、DNA抽出や遺伝解析にかかる経費が支出できなかった。翌年度中に実験を実施する予定である。
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