2020 Fiscal Year Research-status Report
着生植物・つる植物がもたらす土壌動物の地上部分布拡大と樹上有機物動態の解明
Project/Area Number |
19K06121
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
吉田 智弘 東京農工大学, 農学部, 准教授 (60521052)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸田 浩人 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (00237091)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 土壌動物 / つる植物 / 樹幹 / 森林 / 土壌 |
Outline of Annual Research Achievements |
森林の林床の土壌動物は、樹幹部に着生する植物やコケ類を移動経路・隠れ場所として利用することで、樹上へと分布を拡大していると予想される。2020年度には、森林地上部のつる植物が土壌動物の分布・定着に及ぼす影響を明らかにすることを目的として、つる植物の物理的構造を模倣した人工つる(麻ロープ)をコナラ樹幹部に設置して、つるの着生の有無で樹幹に生息するする土壌動物の分類群数・個体数に違いがあるかを調べた。 本調査において、人工つるの太さ・本数密度を変えた処理区および対照区(つる無し)を設定し、人工つる設置2ヶ月後に、市販のスプレー式殺虫剤を樹幹に噴霧して、落下する動物を回収した。調査の結果、つるの太さと本数密度は樹幹上の動物群集に異なる効果を及ぼした。土壌動物であるトビムシ・ササラダニは、細いつるの付加・つるの高密度化によって高い個体数密度を示した。他の分類群では、つる付加の効果が生じないものも存在した。以上のことから、樹幹上の動物群集に対してつる植物が担う効果は、つる部分の形態や分類群によって異なることが示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、調査地(沖縄・京都)に移動することができず、当初予定していた計画の通りに野外調査を進めることができなかった。しかし、東京都内のコナラ林において本研究課題に即した野外操作実験を行うことで、課題の内容の一部を実施した。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、新型コロナウイルスの感染拡大状況に対応できるように、以下の2つの調査計画を実施する。 1.新型コロナウイルスの感染拡大が終息した場合は、調査予定地(沖縄・京都)においてこれまでに準備・予定していた下記の調査を行う。1) コケ類や着生植物の着生の有無で樹幹に生息するする土壌動物の種数・個体数に違いがあるかを調べる。2) 樹幹に着生したコケ類・着生植物・土壌の量的な調査を実施する。 2.2021年度も新型コロナウイルスの感染拡大防止のための移動制限等の措置が取られていた場合は、2020年度と同様に東京都内の森林において本研究課題に即した下記の野外調査を実施する。1)つるの有無で樹幹上の動物がもたらす作用(捕食圧や有機物の持ち去り)に違いがあるかを調べる。2)着生植物・コケ類を模した人工構造物(ヤシマット等)樹幹に設置することによって、樹幹へと土壌動物の定着が促されるかを検証する。
|
Causes of Carryover |
2020年度は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、調査予定地(沖縄・京都)にて野外調査を実施することができなかったため、当初予定していた旅費・物品費の使用が大幅に少なかった。2021年度は新型コロナウイルスの感染拡大が終息した場合は、調査予定地(沖縄・京都)においてこれまでに準備・予定していた調査を実施する。2021年度も新型コロナウイルスの感染拡大防止のための移動制限等の措置が取られていた場合は、2020年度と同様に東京都内の森林において本研究課題に即した野外調査を実施し、論文作成に関わる費用(投稿費・掲載費・英文校閲費)への配分を高める。
|