2019 Fiscal Year Research-status Report
航空LiDARデータを利用した落葉広葉樹林冠の3次元構造の解析方法の開発
Project/Area Number |
19K06123
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
粟屋 善雄 岐阜大学, 流域圏科学研究センター, 教授 (90353565)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 航空レザー / LiDAR / 落葉広葉樹林 / 葉面積指数 / Beer-Lambert則 |
Outline of Annual Research Achievements |
岐阜県高山市の大八賀川流域の落葉広葉樹林を対象にテストサイトを設定して、地上調査を実施してこれまでに毎木調査8プロット、リタートラップによりLAI6箇所(2箇所で失敗)、全天写真によりPAI9箇所、光量子センサによりPAR(PPFD)6箇所で測定した。また、毎木調査データから葉面積を推定するアロメトリ式を調整し、毎木調査データから各プロットのLAIを推定した。トラップによるLAIは4~5でアロメトリによるLAIは約4~6だった。PAIは約2でLAIに比べてPAIは小さかった。PPFDの透過率は約6~9%だった。比較のため2010~2012年の毎木調査データから求めたLAIに比べてLAIは0.3~1.1増加していた。 2016年10月に観測された航空レーザ(LiDAR)データからテストサイト全域の表層高マップを作製した。林冠高は最大で約26mで、概ね15~20mだった。Beer-Lambert則とLAI(アロメトリ式)に基づいてLiDARデータによるLAIの推定を試みた。その結果、消散係数はおおよそ0.18~0.31となった。メッシュサイズを10mとして高さ方向に50cmの階層を設定して階層ごとにBeer-Lambert則を利用してLAIを推定した。消散係数を全階層で固定としたことから、LAIの合計値は1階層としてLAIを推定した場合と一致した。階層によって葉の密度が異なることから、消散係数の与え方については検討が必要である。 2005年と2011年および2016年に観測されたLiDARデータについて地上2mでのビームの透過率を求めて比較した。その結果、2016年のデータは透過率が他のデータよりも大きめでバラツキが大きいことから、落葉開始後に観測されたと考えられた。このため、落葉の進んだ林分を解析対象から除外することにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ予定通り地上調査を実施した。毎木調査は5か所で実施して予定を上回った。また、当初は予定していなかったが、毎木の葉量を推定するアロメトリ式を調整して毎木調査データからLAIを推定できるようになった。この結果に基づいてリタートラップで測定したLAIの検証を可能にした。 LiDARデータによってLAIの推定を試行した。レーザビームの点数が決して多くはないため、垂直方向あるいは水平方向のメッシュサイズを粗くすることが必要だった。垂直方向50cm、水平方向10mで解析したが、最適なメッシュサイズは検討課題である。Beer-Lambert則を利用して基礎的なLAI推定モデルを作成できた。 2016年のLiDAR観測では落葉広葉樹の落葉が始まっていたことが確認されたため、プロットの位置と解析の範囲を見直す必要が生じた。すでに、新たなプロットの候補林分を選定し終えている。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に引き続いて地上調査を実施する。森林プロットを2か所新設する。PPFDの測定については天空光を観測できる場所が限られるため、10年ほど前に測定した55か所のプロットの中から吟味して候補林分を定める。また、2016年と過去のLiDARデータを比較して2016年データ観測時点での落葉の進展を判定し、落葉の進んでいないエリアを解析の対象として抜き出す。 LiDARデータによるLAIの推定については、複数の森林プロットから得られた消散係数を利用してLAIを推定してクロスチェックにより消散係数を結滞する。当初から利用を予定していた2016年のLiDARデータに加えて、2005年と2011年に観測されたLiDARデータを併用して、クロスチェックによりLAI推定の妥当性を検討する。今年度はBeer-Lambert則に加えて階層ごとのビームの減衰率に基づく方法でLAIを推定し、それぞれの推定結果を比較して得失を検討する。
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Research Products
(2 results)