2020 Fiscal Year Research-status Report
航空LiDARデータを利用した落葉広葉樹林冠の3次元構造の解析方法の開発
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19K06123
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
粟屋 善雄 岐阜大学, 流域圏科学研究センター, 教授 (90353565)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 航空レザー / LiDAR / 落葉広葉樹林 / 葉面積指数 / Beer-Lambert則 / 全天写真 / 光合成有効放射束 / 植物断面積指数 |
Outline of Annual Research Achievements |
地上調査を実施し、4か所のプロットに設定したリタートラップで落葉量を測定して林分の葉面積指数(LAI)を推定した。9回のリターの回収に合わせて全天写真を撮影し、全天写真から植物断面積指数(PAI)を推定した。盛夏のPAIは3.5~4.0でLAIよりも過少だったが、4プロットともPAIとLAIの相関は0.97以上と高かった。落葉後のLAIがゼロで幹と枝が写った全天写真で推定したPAIはいずれも約1でPAIとLAIの関係を表す回帰式は4プロットでバラバラだった。全天写真解析によるPAIを林分の葉量の比較に使うことは適切ではないと判断した。光量子センサを利用して4林分で林床の光合成有効放射(PPFD)を、そのうち2林分で高さ別に3箇所でPPFDを計測して林外で計測したPPFDと比をとってPPFD(可視光)の透過率を測定した。PPFDの透過率とLiDARデータの透過率を比較したところ高さによる両者の減衰傾向は一致した。また、消散係数を一定としてBeer-Lambert則によってLiDARデータから推定した葉面積指数(LAI)は、全天写真から推定したPAIに一致し、単純にBeer-Lambert則をLiDARデータに適用した場合、推定値はPAIであることが分かった。PPFDの透過率がPAIと似た傾向を示すことや全天写真解析での幹・枝の影響を考えると、単純な方法でLiDARデータを解析しても幹・枝が影響して葉量を正確に推定できないと判断した。 このため、高さ別に消散係数を設定するため、既存論文から落葉広葉樹の樹冠解析の資料を入手して胸高直径と樹高で単木の葉量を推定するアロメトリ式を調整して、毎木調査のデータから林分の葉量を推定した。また、既存論文から落葉広葉樹の単木の葉群の葉群垂直分布式を導入し、毎木調査プロットにおける葉群の垂直分布データの作成に取り組んでいる
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
地上調査は予定通り進み、消散係数を固定した場合のLiDARデータによる葉面積指数の推定は完了した。樹高を数段階に分割して消散係数を設定するため、単木の葉量を推定するためのアロメトリ式を整備し、プロットの毎木調査データに基づいて林分単位で高さ別の葉量を推定する準備が整った。 昨年度の前半では新型コロナのため調査ができず、夏に豪雨で道路が崩れて調査が危ぶまれたが、8月末以降に努力して地上調査の遅れを挽回できた。
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Strategy for Future Research Activity |
プロット毎に高さ別の葉量の分布をしてた後、約40か所のプロットデータから得た階層別の葉量と階層別のLiDARデータの関係を解析して、階層別の消散係数を決定してLiDARデータから葉量を推定する。得られた結果と地上調査の結果などと比較して、高さ別に消散係数を設定して葉量の垂直分布を推定し、林分のLAIを推定する方法の有効性を検証する。
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Causes of Carryover |
新型コロナのため海外の国際研究集会へ参加できなかった。この残額を今年度は成果の論文投稿(英文校閲費、投稿費)に充てる。
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Research Products
(1 results)