2020 Fiscal Year Research-status Report
Establishment of the methylated DNA loci profiling method that reveals the past of clonal plants.
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19K06131
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Research Institution | Tsuruoka National College of Technology |
Principal Investigator |
南 淳 鶴岡工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (50270210)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | クローナル植物 / 林床 / DNAメチル化 / マイクロサテライト / エピジェネティクス / ヤブコウジ |
Outline of Annual Research Achievements |
クローナル植物は、森林の植物群集の重要な構成員であり、森林生態系の動態に重要な役割を持つ。しかしながら、クローナル植物のジェネット(遺伝的な個体)において、どのようにラメット(機能上の個体)が形成されていくかを明らかにするには長期間の観察によるしか無い。本研究で開発を目指すDNAメチル化プロファイリング法は現在の個体のDNAのメチル化状態を調べることによって、クローナル植物の群落の形成過程を推定するものである。本研究では様々な森林において優勢な林床性クローナル低木であるヤブコウジArdisia japonicaを研究材料として調査・実験を行ってきた。 本年度はヤブコウジのジェネットの分布に明らかにした。まず、次世代シーケンサーによるゲノム情報を元に設計したマイクロサテライトマーカーの選抜を行ったが、その結果12個の多型性の高い優良な分子マーカーを開発することができた。これらにより迅速で正確にヤブコウジ個体のジェネット(クローン)の識別をすることができるようになった。これらを用いて、1x 1m 方形区、10 x 10 m調査区におけるジェネットの分布を解析した。ヤブコウジの群落は少数のジェネットが複雑に入り組んだ構造をしていること、実生の集団への参入はほとんど無いことがわかった。さらに1 kmを超える範囲におけるジェネットの分布を解析し、最も優勢なジェネットは数100 mの広がりを持ち、数百年以上の期間にわたってジェネットが存続してきたことが示唆された。これらは、繁栄した林床性クローナル低木における群落形成過程についての新たな知見でもある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナ対策による制限のため、当初予定していた人員の確保ができず、実験の進行が遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
DNAメチル化解析方法の確立を行い、ヤブコウジジェネットへ適用していく。数年~数百年の異なる時間スケールでのDNAメチル化プロファイル変化について解析する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスまん延防止のためリサーチアシスタントの雇用ができなかったため。次年度に行う。
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