2020 Fiscal Year Research-status Report
火山性荒廃地の侵食地形を利用したパイオニア草本の定着を促す緑化に関する研究
Project/Area Number |
19K06134
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Research Institution | Forest Research and Management Organization |
Principal Investigator |
小川 泰浩 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (50353628)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上條 隆志 筑波大学, 生命環境系, 教授 (10301079)
廣田 充 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (90391151)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 三日月型緑化資材 / リル / パイオニア植物 |
Outline of Annual Research Achievements |
噴火跡地のリルにおけるパイオニア植物が自然回復している実態を明らかにするための野外流水実験を計画していた。しかし、現地実験の補助作業員は島民も含まれる。今年度は離島における新型コロナウィルス感染症の感染拡大を回避することを重視し、屋外であるが,接触感染リスクが高い作業が想定される現地実験を中止した。本年度は計画を人手がかからない調査である現地観測に変更した。生態系に配慮する三日月型資材の開発をすすめるため,資材を設置したリルにおける現地観測を行った。試験地として設定した東京都三宅島のリルは、三宅島雄山南側の標高480m付近の山腹斜面で,傾斜が6~10度であり、2000年噴火後に裸地化した山腹である。裸地斜面において表面侵食によって形成したリルに1個設置した三日月形資材の土砂貯留量を、他の資材(木柵と石礫)を1個設置したリルの土砂貯留量とそれぞれ比較した。三日月形緑化資材のサイズは弧長1.5m,中央直径25cm,重量は25kgである。資材ごとの土砂貯留量を比較するため、他の資材の堰の幅や高さを三日月形緑化資材とほぼ同じ大きさに設定した。その結果、三日月形資材に貯留する土砂量は、ほかの2種類の資材と同じであったにもかかわらず、三日月形資材を通過する土砂量は他の資材の3割程度に過ぎなかった。他の資材よりも設置の手間が少ない三日月形資材で土砂を貯留することが可能になったことで、三日月型緑化資材に貯留した土砂を在来種の生育基盤とする緑化工が検討できるようになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度計画を変更したが、リルにおける観測の結果、リルに資材を設置することによって流出土砂の安定化し、緑化を行うための植物生育基盤の形成が確認された。そのため、次年度以降の流水実験で、貯留土砂の物理的指標にもとづいた植物種子の定着も検討できるようになった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、昨年度と異なり各種機関により提供された感染対策が示されている。こうした対策を取り入れて流水実験を推進する。
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Causes of Carryover |
現地流水実験の準備に旅費や試験材料を使用する予定であったが、現地観測では実験のための旅費や物品を計上しなかったため次年度使用額が生じた。今年度の残額は実験経費やデータ解析機器に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)