2023 Fiscal Year Annual Research Report
Understanding the mechanism in paradox of tropical seasonal forest: does climate change affect its sustainability?
Project/Area Number |
19K06135
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Research Institution | Forest Research and Management Organization |
Principal Investigator |
飯田 真一 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (70375434)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山中 勤 筑波大学, 生命環境系, 教授 (80304369)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 生態水文学 / カンボジア / 熱帯季節落葉林 / 樹木の吸水深度 / 蒸散 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度では、降雨量が極端に少なかった2020年乾季について同位体メカニスティックモデルによる感度分析を行い、降雨量の減少によって熱帯季節落葉林の蒸散量は平常年の半分以下に減少する可能性が示唆された。2010年から2020年までの土壌水分量を解析した結果、2020年乾季は最も乾燥が進んでいたことが判明した。林分蒸散量は、平常に近い状況であった2011年と比較して約半分程度に減少した。同位体メカニスティックモデルを用いて、2020年の無降雨日が最大3カ月間増加した場合の感度分析を行った結果、林分蒸散量は無降雨日を増加させない場合の約6割に、平常年と比較すると3割程度まで減少することが明らかとなった。
研究期間全体を通じた解析の結果、以下のことが明らかとなった。熱帯季節落葉林における土壌水分量、林分蒸散量、ならびに土壌水・地下水および枝から抽出した水の安定同位体比の解析から、乾季における利用水源は深部の土壌水である可能性が高いことが分かった。このことは気候変動下での同生態系の保全策検討に資する。 熱帯季節落葉林の樹木は無降雨日が継続する乾季に展葉するとともに、蒸散活動を行うことが観測データから裏付けられた。特に、最も乾燥が進んだ2020年乾季でも、樹木は展葉を行った。しかし、土壌が極端に乾燥していたため、平常年と比較すると蒸散量は約半分まで減少しており、水ストレスの発生が確認された。枝から抽出した水の安定同位体比から、樹木は深度120cm以深から吸水する可能性が示唆された。また、無降雨日を1カ月間増加させた場合と3カ月間に増やした場合をモデルでシミュレートすると、蒸散量にはほとんど差が無かった。同モデルでは、実際の葉面積を用いたため、極端な乾燥時の樹木の応答を過小評価した可能性がある。将来、植物生理学的な応答特性を加味した検討を加える必要がある。
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[Presentation] Contribution of understory vegetation to evapotranspirational processes in a tropical dry deciduous forest in Cambodia2023
Author(s)
Shin'ichi Iida, Takanori Shimizu, Koji Tamai, Naoki Kabeya, Akira Shimizu, Makoto Araki, Yasuhiro Ohnuki, Eriko Ito, Jumpei Toriyama, Tanaka Kenzo, Tayoko Kubota, Tsutomu Yamanaka, Sophal Chann, Delphis F Levia
Organizer
American Geophysical Union
Int'l Joint Research / Invited
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