2020 Fiscal Year Research-status Report
Transfer of radiocesium from canopy to forest floor in deciduous oak dominated forests and the prediction of resume of leaf litter origin compost production
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19K06140
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
大久保 達弘 宇都宮大学, 農学部, 教授 (10176844)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯塚 和也 宇都宮大学, 農学部, 教授 (20344898)
逢沢 峰昭 宇都宮大学, 農学部, 准教授 (70436294)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 放射性Cs移行過程 / コナラ林 / 腐葉土製造 / 暫定許容値 / 落葉利用再開予測 |
Outline of Annual Research Achievements |
福島原発事故による放射性セシウム(Cs)の降下沈着影響下の奥山ブナ類林と里山ナラ類林の両ブナ科落葉広葉樹優占林では、事故後4-5年の初期段階から準平衡段階または平衡段階とよばれる、分布変化が小さい状態に移行していると考えられる。その状況下での森林内の主要構成樹種(ブナ類、ナラ類)の枝葉および樹体に注目して放射性Csの植物体内への吸収、植物体から着生葉、着生葉から落葉、最終的に林床の堆積有機物層への放射性Csの移行過程を評価する。また、各樹種の樹体から枝葉における安定同位体Csを同時に測定することで放射性Csの樹体並びに生態系での将来的な循環過程を予測する。奥山里山の落葉ブナ科広葉樹優占林からの生態系サービスとして現在でも放射性Csの暫定許容値が設定され、放射能汚染による利用停止が継続している林床の落葉による“腐葉土”生産とその利用再開の予測に焦点をあてる。そのためには落葉ブナ科優占林における樹体および生態系の放射性・安定同位体Csの動態に関する基盤情報の収集が急務である。具体的には福島県に隣接する栃木県北部の福島原発事故後の放射性セシウム(Cs)の初期沈着量の異なるブナ・イヌブナ林とコナラ林において、1)大型の倒木から採取した樹上葉、枝(当年枝、旧年枝)、幹、根系を利用して、樹幹、樹上末端の枝から樹上葉への放射性Csの移行過程を安定同位体Csの存在量と関連して明らかにする、2)その結果を林床に設置したリタートラップの落葉の放射性Csと比較し、ブナ類、ナラ類の樹体、樹上枝・生葉から落葉への移行過程を把握する。さらに3)放射性Csの初期沈着量の違いに応じた落葉の腐葉土利用可能性予測を行うために、リター、林床の堆積有機物層(A0)、表層土壌の放射性Csの年次観測を実施する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)大型倒木樹体の放射性Cs測定については、2018年秋に台風で倒れたブナ・イヌブナ大径の倒木各1本から高さ別(2m間隔)に円盤を採取し、それぞれの円盤について樹皮、材部については外側から一定の間隔で木片を採取し放射性Csを測定した。また深さ別の根系、周辺土壌を採取し同じく放射性Csを測定した。2)樹冠(樹上枝、樹上葉)から落葉による地表への放射性Cs移行過程については、高原山のイヌブナ・ブナ林に設置したリタートラップの月別(2019.4-11)観測を継続した。そして3)落葉の放射性Csの継続モニタリングについて栃木県内3ヶ所(関谷、船生、大木須)の初期沈着量の異なるコナラ林分でリター、堆積有機物層、表層土層の放射性Csの測定を行い、落葉由来腐葉土の利用再開予測モデル作成のためのデータ蓄積を行った。年度はじめはコロナウィルスによる緊急事態宣言下において、調査実験が滞った。
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Strategy for Future Research Activity |
1)大型倒木樹体の放射性Cs測定については、2021年3月に大径コナラについてブナ大径木同様に、倒木各1本から高さ別(2m間隔)に円盤を採取し、それぞれの円盤について樹皮、材部については外側から一定の間隔で木片を採取し放射性および安定同位体Csを測定する。また深さ別の根系、周辺土壌を採取し同じく放射性Csを測定する。 2)樹冠(樹上枝、樹上葉)から落葉による地表への放射性Cs移行過程については、高原山のイヌブナ・ブナ林でのリタートラップ月別(2021.4-11)観測を継続する。 3)落葉の放射性Csの継続モニタリングについては栃木県内3ヶ所(関谷、船生、大木須)の初期沈着量の異なるコナラ林分でリター、堆積有機物層(A0)、表層土層の放射性Csの測定を継続し、あわせてコナラの樹体、樹上枝葉の採取と放射性Csの測定を行う。
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Causes of Carryover |
コロナウィルスによる緊急事態宣言下において、野外調査、室内実験などにおいて行動制限があり、当該年度の所要額を全て使用することができなかったため。また2021年度は、2020年度に比べて野外調査、実験などの行動制限が緩和されていることから、今年度使用額を使用したいため。
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Research Products
(4 results)