2019 Fiscal Year Research-status Report
落葉期/着葉期UAV空撮データを用いた広葉樹林の樹冠抽出と樹種分類
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19K06143
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
村上 拓彦 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (20332843)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | UAV / 広葉樹 / 樹種分類 / 樹幹抽出 / SfM / オブジェクトベース画像分類 |
Outline of Annual Research Achievements |
UAV空撮の実施において一様曇天条件下における実施が有効であることを確認した。近赤外センサをUAVに搭載し,計画どおり現場で空撮を実施するために検討を重ねた。 オブジェクトベース画像分類による樹種分類に取り組んだ。2019年6月19日,9月27日,10月20日,11月22日の計4回空撮を実施した(ただし,11月データは樹種分類には直接利用せず)。樹種分類ではオブジェクトベース画像分類を採用した。使用したソフトは,eCognition Developer 9.4(Trimble社)である。分類器にはNearest Neighbor法を採用した。3時期の画像を用いた分類との比較のため,6月,9月,10月のそれぞれ1時期での分類,6月と9月,9月と10月,9月と10月の2時期での分類も実施した。Kappa係数により分類精度を比較したところ,最小で0.63(6月,9月データの組み合わせ),最大で0.65(10月データのみ使用)となっており,その差はわずかであった。三時期組み合わせの場合のKappa係数は0.63であった。 当初予定では樹冠抽出を目指したが,今年度はその前段階として樹幹抽出に取り組んだ。ブナ二次林を対象とし,UAVで取得した落葉期ブナ林の空撮データをSfM解析し,得られた点群データから樹幹の抽出を試みた。対象地は新潟県十日町市に所在するブナ林である。空撮は2019年11月21日に実施した。撮影枚数は903枚である。SfM解析にはPix4Dmapperを用いた。得られた点群データに対し,地表面の分類を行い,各点群に地表からの高さの属性を与えた。さらに高さ別に点群を分類し,任意の高さの点群を抽出し,それをラスタライズ,ポリゴン化し,最終的にポリゴンの重心位置をポイントデータに変換して樹幹位置として抽出した。抽出した樹幹位置と現地調査の結果を照らし合わせ,抽出率を求めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は,UAV 空撮画像を用いた広葉樹林の単木スケールの樹冠抽出,樹種分類手法の開発である。UAV 空撮画像から点群データ,オルソデータを取得し,広葉樹林を対象として以下の課題に取り組む。 単木スケールの樹冠抽出:落葉期のUAV 空撮画像を用いた樹冠抽出法を検討する。特に,テンプレートマッチングを用いた手法を検討する。 単木スケールの樹種分類:近赤外情報を付加したUAV 空撮画像を用いた樹種分類手法の開発に取り組む。UAV 空撮における近赤外情報がどの程度分類精度向上に寄与するのか確認する。分類の単位はオブジェクト(ピクセルの集合体)とし,分類方法として機械学習(Support VectorMachine,Random Forest など)を複数適用する。 現在までのところ,UAV空撮を現場で確実に実行するための体制についてはかなり整えることができた。近赤外センサについては試行錯誤を重ね,年度の後半ではようやく安定的に運用できるようになった。ただし,近赤外センサにより取得された画像データの処理については,依然として検討すべき点が複数ある。単木スケールの樹種分類については,オブジェクトベース画像分類を用いて行った。機械学習の適用は今後の課題である。樹冠抽出は,樹幹抽出で代替的に試みているが,点群の処理を順調に進めることができれば,その方法を確立できる感触は得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
近赤外センサを用いたオルソフォト作成を確立し,近赤外情報を用いた単木スケールの樹種分類に取り組む。分類には機械学習(Support Vector Machine,Random Forestなど)を採用する。 樹幹抽出の精度向上を目指す。また,現時点までに取り組めていない落葉期の画像を対象にテンプレートマッチングによる樹冠抽出を試みる。
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