2020 Fiscal Year Research-status Report
落葉期/着葉期UAV空撮データを用いた広葉樹林の樹冠抽出と樹種分類
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19K06143
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
村上 拓彦 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (20332843)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | UAV / 広葉樹 / 樹種分類 / 樹幹抽出 / SfM / オブジェクトベース画像分類 / Litchi |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,UAV空撮画像を用いた広葉樹林の単木スケールの樹冠抽出,樹種分類手法の開発である。UAV空撮画像から点群データ,オルソデータを取得し,広葉樹林を対象として単木スケールの樹冠抽出,単木スケールの樹種分類の課題に取り組む。 今年度は樹冠抽出の代替として樹幹に着目し,UAV空撮画像より得られた点群を用いたブナ林の樹幹抽出に取り組んだ。今年度は,斜め視画像の有効性の是非を確認することを主たる検討課題とした。加えて,rawデータの現像処理で,樹幹復元性向上に関わるファイル形式,編集パラメーターについて検討した。解析の結果,「直下視」の樹幹抽出精度が明らかに低いことが明白であった。「斜め視」と「直下視+斜め視」の全現像パターンにおける抽出精度を比較したところ,「斜め視」の精度の方がやや高い傾向にあった。一連の精度検証より,TIFF初期設定の斜め視空撮画像のみを用いて作成された点群による樹幹抽出率が最も高かった。 ブナ天然林を対象に,オブジェクトベース画像分類による樹種分類を試みた。UAVを用いた空撮を2020年9月と10月に実施した。使用したUAVはMavic 2 Proである。空撮を実施するにあたり,対象地全域をカバーする飛行計画をLitchiを用いて策定した。オブジェクトベース画像分類を用いて樹種分類を行った。採用した分類器は「Nearest Neighbor」である。検証用データを用いた精度検証の結果,全体精度は,9月で0.620,10月で0.698となった。分類精度を表すKappa係数は,9月で0.511,10月で0.588であり,この両者には有意水準5%で有意差が認められた。今回の2時期の分類成果図では差異が認められたが,分類精度は必ずしも十分でなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は大きく分けて下記の二点である。単木スケールの樹冠抽出:落葉期のUAV空撮画像を用いた樹冠抽出法を検討する。特に,テンプレートマッチングを用いた手法を検討する。単木スケールの樹種分類:近赤外情報を付加したUAV 空撮画像を用いた樹種分類手法の開発に取り組む。UAV 空撮における近赤外情報がどの程度分類精度向上に寄与するのか確認する。分類の単位はオブジェクト(ピクセルの集合体)とし,分類方法として機械学習(Support Vector Machine,Random Forest など)を複数適用する。 これらの目的を達成するためには,現場にてUAV空撮を確実に実行する必要がある。この研究では地形に起伏のみられる傾斜地で行う空撮がほとんどのため,地形の起伏を考慮した空撮が求められる。空撮アプリであるLitchiを用いた対地高度一定の飛行計画の策定方法について確立したため,その技術の普及のために,解説を森林計画学会誌にて公表した。 単木スケールの樹冠抽出について,十分に取り組めていないが,代替的に落葉期データを用いた樹幹抽出に取り組んでいる。単木スケールの樹種分類については,オブジェクトベース画像分類を用いて行った。機械学習の適用は今後の課題である。近赤外センサを用いた空撮にも成功しており,オルソモザイクデータの処理までは進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
落葉期の画像を対象にテンプレートマッチングによる樹冠抽出を試みる。樹冠抽出結果と現地調査により把握した立木位置を照らし合わせ,樹冠抽出の精度を検証する。落葉期と着葉期の画像を組み合わせた樹冠範囲の特定も試行する。 斜め視画像を用いた樹幹抽出にも引き続き取り組む。空撮の角度の複数パターン用意し樹幹の抽出精度を評価する。 樹種分類について,オブジェクトベース画像分類の分類器として機械学習を採用する。機械学習適用についてはこれまでに解析実績がある。Support Vector Machine(SVM),Random Forestを適用し,分類精度を評価する。樹種分類において,今回重視している近赤外情報の付加が,判読作業の向上に寄与しているのかどうか,可視域のみの場合と分類精度を比較する。
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