2019 Fiscal Year Research-status Report
森林の急激な環境変化が野生植物の生態的・進化的変化に与える影響
| Project/Area Number |
19K06150
|
|---|
| Research Institution | Nihon University |
|---|
Principal Investigator |
森長 真一 日本大学, 生物資源科学部, 助教 (80568262)
|
|---|
| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平尾 聡秀 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 講師 (90598210)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
| Keywords | シカ不嗜好性植物 / 集団ゲノム解析 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
日本の森林では、シカの増加に伴って生態系内の環境が大きく変化し、例えばシカからの食害をほとんど受けないシカ不嗜好性植物はその個体数を急激に増加させている。そこで本研究では、複数のシカ不嗜好性植物を対象に、野外調査と集団ゲノム解析に基づいて、急激な環境変化が野生植物の生態的および進化的な変化に与える影響について明らかにすることを目的とした。本年度は、集団ゲノム解析に先立って、複数のシーケンサーを用いたゲノム解析・トランスクリプトーム解析と野外調査を行った。
近年新たに発売された次世代シーケンサーDNBSEQ（旧MGISEQ）を用いて、150bpのペアエンドシーケンスを行い、100Gbpのリードを得た。広く普及しているショートリードシーケンサーのイルミナHiSeq等で解析を行った際と比較すると、各リードのクオリティー等は同程度であり、なおかつシーケンスコストはより安価であった。またローグリード対応のオックスフォードナノポア社のMinIONを用いてシーケースを行い、8Gbpのロングリードを得た。ショートリードシーケンサーに比べて精度は劣るものの10kbpを超える配列が多数を占めていた。加えて、葉組織を対象にイルミナHiSeq を用いてRNA-seq解析を行った。現在、これらのデータを統合することで、ショートリードとロングリードのハイブリッドアセンブルを行うための準備を進めている。
野外調査においては、定点調査と広域調査の2種類について実施した。定点調査では、東京大学秩父演習林において複数の調査区を設置し、分布域の拡大縮小傾向を明らかにするための経年調査と集団ゲノム解析用のサンプリングを行った。また広域調査では、複数の都道府県での広域的なサンプリングを行い、集団ゲノム解析のための準備を進めた。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、ショートリードシーケンサーDNBSEQ・HiSeqおよびロングリードシーケンサーMinIONでの全ゲノム解析・トランスクリプトーム解析を実施することができた。また野外調査においても、定点調査と広域調査の2種類を予定通りに実施することができた。MinIONによるシーケンス解析が未完ではあるものの、全体としては、おおむね順調に進展している。
|
| Strategy for Future Research Activity |
ロングリードシーケンサーMinIONでの解読塩基数を増やすべく、さらに追加解析を実施した上で、アセンブリを行っていく。加えて、定点調査は今後も継続して行い、広域的な野外調査を順次追加することで、調査データとサンプル数を増やしていく。そして、アセンブリによって得られたゲノム配列をリファレンスにして、定点調査と広域調査で得られたサンプルの集団ゲノム解析から、急激な環境変化が野生植物の生態的および進化的な変化に与える影響について明らかにすることを試みる。
|
| Causes of Carryover |
当初の計画で購入・使用の予定であったロングリードシーケンサーMinIONのフローセルR10に不具合が見つかったことにより、急遽販売が停止となった。それにより、購入および解析することができなくなり、次年度使用額が発生した。次年度では、不具合を解消した上で新たに発売された同R10.3を購入・使用して、未完となっていた解析を進めていく。
|
Research Products
(8 results)
-
-
[Journal Article] Plasticity of functional traits and optimality of biomass allocation in elevational ecotypes of Arabidopsis halleri grown at different soil nutrient availabilities2019
Author(s)
Wang, Q-W., Daumal, M., Nagano, S., Yoshida, N., Morinaga, S.-I., Hikosaka, K.
-
Journal Title
Journal of Plant Research
Volume: 132
Pages: 237-249
DOI
Peer Reviewed
-
-
-
-
-
-
