2019 Fiscal Year Research-status Report
森林性キノコバエ類とその天敵の機能に注目したシイタケ栽培地の生物間相互作用の解明
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19K06152
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Research Institution | Forest Research and Management Organization |
Principal Investigator |
末吉 昌宏 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (80435586)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | スギ人工林 / 生物多様性 / 害虫防除 / 群集構造 / 生物間相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では、生物多様性が低いとされる人工林などにホダ木を持ち込むことで付け加えられた、ホダ場の生物間相互作用を定量的に明らかにする。特に、害虫キノコバエ類の個体群密度を低くすると思われる天敵の機能に焦点を当てて、天敵の増加がシイタケへの被害減少につながるかどうか検証する。害虫キノコバエ類の天敵として寄生蜂、野鳥類、クモ類を想定し、これらの群集構造と季節変動を調査した。 2019年7月に大分県日田市の森林内のホダ場7箇所と周辺のスギ人工林4箇所、天然林4箇所に調査地を設置し、固定プロット(100m2)とプロット内のコドラート(1m2)を各1箇所づつ設けた。2019年7月に各調査地に土壌から羽化するキノコバエ類を捕獲する羽化トラップ(地表接地面250cm2)を4基設置した。同年7月から翌年3月まで月1回羽化トラップで採集されたサンプルを回収した。また、各調査地の固定プロット内で発生した野生きのこ類を30分間採集し、それらの標本を作製した。各調査地の固定プロット内で、地表から地上高2mまでの空間に巣網を作った造網性クモ類を30分間採集した。また、これらの巣網にかかったキノコバエ類の種類と個体数を記録した。さらに、各調査地の固定プロット内に粘着シートを用いたトラップを粘着面を下に向けて月1回、4日間設置し、キノコバエ類を捕獲した。各調査地の固定プロット内のコドラートを撮影する自動撮影カメラを1基設置した。その中で土壌をついばむ野鳥類の種類と撮影頻度を記録した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、試験地の設定、サンプルの回収を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染拡大により、R2年度に参加・成果発表を予定していた国際昆虫学会がR3年に延期となったため、当該学会参加をR3年度に行う。また、同様の理由で、当初の計画でR2年度に計画していたドイツ昆虫学研究所への訪問・調査が困難となったため、R3年度に延期する。
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Causes of Carryover |
年度当初に予定していた調査計画を見直した結果、年度当初に予定していた旅費等が想定より増加したため、前倒し支払い請求を行った。しかし、旅費の増加が想定よりも少なく済んだため、次年度使用額が発生した。この次年度使用額はR3年度の旅費として使用する予定である。
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