2019 Fiscal Year Research-status Report
What is the difference between the increasing sika deer and the decreasing Japanese serow? Verification from Optimal Foraging Theory.
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19K06158
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Research Institution | Forest Research and Management Organization |
Principal Investigator |
八代田 千鶴 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (20467210)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | シカ / カモシカ / 採食生態 / 餌資源選択 / 最適採餌理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
シカの個体数増加と生息分布域拡大が全国的に報告されており、農林業に対する被害や森林生態系に対する影響が懸念されている。また、他の野生動物に対する影響も指摘されており、特に餌資源の競合するカモシカはシカの増加が原因で個体数の減少や生息地域の変化が生じている可能性が指摘されている。そこで、本研究ではシカおよびカモシカが同所的に生息する地域を調査対象とし、最適採餌理論の概念に基づいて両種の餌資源選択の違いを検証する。 長野県においてカモシカの生息が確認されており、シカが高密度に生息する地域(高密度地域:塩尻市、下諏訪町)および近年シカが増加しつつあるが現在は低密度の地域(低密度地域:南木曽町、王滝村)を調査対象地域として設定し、環境情報およびシカとカモシカの生息状況等の既存データを収集した。また、それぞれの調査対象地域内に約4km×4kmの詳細調査区を設定し、1km2メッシュあたり約1台ずつセンサーカメラを設置し、シカとカモシカの撮影回数を記録した。合わせて、センサーカメラ周辺の階層毎の植被率および影響度ランク(シカ等の採食による植生衰退状況)を記録した。 高密度地域では、シカの撮影回数がカモシカより多く、特に下諏訪町ではカモシカは撮影されなかった。一方、低密度地域では、シカよりカモシカの方が撮影回数の高い地点が多かった。植被率は、高木層では60~80%程度で同程度であったが、低木層および草本層では高密度地域の下諏訪町で非常に低かった。影響度ランクも高密度地域で高い傾向があり、シカが高密度に生息する地域では植生に対する影響が大きいと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
カモシカが生息しており、シカの生息密度が異なる地域を調査対象地域として設定し、自治体や関係機関の協力のもと、初年度予定していた既存のデータ収集やセンサーカメラの設置による生息状況調査等を予定どおり進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
調査対象地域における既存データの収集を引き続き実施するとともに、詳細調査区において、季節毎に植生調査を行い植物種の種構成割合および現存量を測定する。また、調査対象地域周辺において捕獲されたシカおよびカモシカの胃内容物を採取し、両種の採取している植物種を調査する。合わせて、詳細調査区内の新しい食痕からDNAサンプルを採取し種判別を行うことで、シカとカモシカそれぞれの採食植物種を特定する。これらのデータから、両種の採食植物種の選択を規定する要因を抽出し、調査対象地域における餌資源選択モデルを作成する。
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Causes of Carryover |
調査対象地域における現存量調査および採取した植物の分析を次年度に実施する予定となったためである。植物分析の試薬等の購入に使用予定である。
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