2019 Fiscal Year Research-status Report
スギさし木苗の「形」をコントロールする-肥大成長促進メカニズムの解明 -
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19K06159
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Research Institution | Forest Research and Management Organization |
Principal Investigator |
栗田 学 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所 林木育種センター, 主任研究員 等 (40370829)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武津 英太郎 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所 林木育種センター, 主任研究員 等 (10370826)
高地 伸夫 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業情報研究センター, 主席研究員 (10816903)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | スギ / さし木苗 / 肥大成長 / SfM |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、様々な光環境条件下や、温度環境条件下で研究材料の育成を行い、肥大成長量と葉量の変化を同時かつ経時的に追跡し、肥大成長に影響する環境条件および葉量増加との関連性を明らかにし、肥大成長量を決定している樹木の成長ダイナミクスの解明を行うことを目的とする。 今年度は、光質と光量がスギさし木苗の成長に及ぼす影響の調査を行なった。生物環境調節装置内を4つの試験区に区切り、各試験区の光条件を以下のように設定した。試験区1:赤強光区、試験区2:青強光区、試験区3:赤弱光区、試験区2:青弱光区。生物環境調節装置内の温度は25℃一定、16時間明期の条件で1ヶ月間の育成試験を行なった。苗高の成長量について試験区間での差異を解析した結果、試験区1<試験区2(p<0.05)、試験区3<試験区4(p<0.01)を示し、苗高については赤色光と比較して青色光で成長促進効果があることが示唆された。一方で光量の違いによる有意差は認められなかった。根元径の成長量について同様の解析を行なった結果、各試験区間での有意差は認められなかったが、赤色光>青色光、強光>弱光となる傾向が認められた。伸長成長と肥大成長に影響する環境要因が異なる可能性が示唆された。 また、今年度はSfM法による立体画像の取得と画像解析技術による肥大成長および葉量変化の調査を高精度で行うための画像取得手法ならびに解析アルゴリズムの検討を行った。高精度化については撮影コンディションについて検討し、計測の条件だしと再構築モデルのノイズの低減を行うとともに、取得データから体積計測のためのアルゴリズムを考案し、体積測定のベースを構築した。さらに、スギさし木苗の根元径および全周3D計測への自動3D撮影モデリング装置の利用の可能性ついて検討した結果、適用可能であることが推測された。今後は実証試験と新たな手法によるデータの取得を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
波長および強度に関して、光刺激に対するさし木苗の成長パターンの評価を行い、伸長成長と肥大成長に影響する環境要因が異なる可能性について明らかにするとともに、今後のより高精度な成長量評価手法としてSfM法による解析手法の検討を行い、簡易計測手法の構築を行なったことから、研究は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
日長ならびに温度条件が、スギさし木苗の成長パターンに与える影響の評価を行うとともに、現在開発を進めているSfM法を用いたより高精度な成長パターンの経時的評価、さらには、解剖学的な解析手法を用いた細胞レベルでの環境刺激への応答性について解析を行う。
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Causes of Carryover |
研究打ち合わせの旅費を予定していたが、新型コロナ感染拡大防止のための移動制限のため取りやめた。当初旅費として使用することにしていた予算は、研究を更に促進するため、今年度得られた成果を活用した新たなSfM解析システムの構築のために使用することを予定。
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