2019 Fiscal Year Research-status Report
Analysis and characterization of terpenoid components in shrub trees such as Lindera umbellata
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19K06164
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
芦谷 竜矢 山形大学, 農学部, 教授 (20423486)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | クロモジ / linalool / 生物活性 / 培養細胞 / 種子 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は基礎データの構築として,オオバクロモジ各部位の詳細な成分分析と主要成分の生物活性,無菌苗と培養細胞の調製について検討した。 成分分析では,種子の主要テルペノイド成分はnerolidolであり,linaloolは比較的微量であった。また,各地の演習林等から依頼して集めたクロモジの成分分析では,オオバクロモジと同様に葉と樹皮でlinaloolの光学異性体比が異なることが示され,この傾向がほぼ共通したものであることが示唆された。樹皮・小枝,葉について,linaloolの酸化物であるlinalool oxide類について詳細に分析を行った。その結果,部位ごとに含有される主要なlinalool oxide類の異性体比はlinaloolと同様に異なることが示された。これら特徴成分の役割を解明するため,ヤマトシロアリや糸状菌に対する成分の活性を検討した。抗蟻活性試験の結果,成分は顕著な忌避活性を示し,立体構造の違いによって活性様式が異なることも示された。抗菌試験では,linaloolおよびlinalool oxideの木材腐朽菌に対する抗菌活性はほとんど認められなかったが,特定の糸状菌に対して抗菌活性が示された。また,linaloolおよびlinalool oxideの立体異性の違いによる抗菌活性の差異についても明らかになった。 成分産生条件の解明のため,殺菌したオオバクロモジ種子を無菌状態で発芽させた無菌苗の栽培を行い,葉,茎の成分分析を行った。無菌苗では検出されたlinaoolは低含有率であり,linaloolは生育段階や外部刺激に応じてして産生される可能性が示唆された。これと並行して,種子からカルス誘導を行い,培養細胞を得た。MS培地上で誘導されたカルスの最適培養条件を検討し,安定して培養できる条件を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたオオバクロモジの詳細な成分分析と生物活性について一定の知見を得た。また,培養細胞の誘導と培養も順調に進んでいる。2019年はクロモジ類の種子が不作であったため,種子から大量の抽出物を得ることなどが難しく,また各地域へのサンプル採集が円滑に行えなかったため,山形以外のサンプル数が少なく,次年度に継続して取り組む必要があり,概ね順調に進展しているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の継続と各地方のクロモジ属,低木類のサンプル採集と分析に取り組む。クロモジの成分分析については一定の成果を得たので,前年不作であった種子の採集,近縁の低木類を中心にサンプル採集を行う。しかしながら新型コロナウイルスの影響もあるため,直接現地に出向くのは不可能な場合,大学演習林を通じて各地の大学演習林にサンプル送付を依頼して収集する予定である。また,得られたカルス細胞の継代培養と,各種刺激を与えた影響について検討し,linaloolなどの成分産生条件を検討する。
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Causes of Carryover |
国際学会が日程の都合上参加できなかった。また,当初予定していた学会が新型コロナの影響で参加できなかったため旅費に残額が出た。また,サンプル採集を行う予定であったが,大学演習林を通じて各大学演習林からサンプルの譲渡をいただいたので,旅費が節約できた。
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